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伊賀再発見 No191 災害時役立つ「在宅避難忍術」

忍者学で有名な三重大学大学院の「忍者・忍術学」講座で初めての修士号を取得。現在、博士課程で学んでいる古武道家の三橋源一さん(47)がこのほど、災害に遭った時に役に立つ「在宅避難忍術」講座を開いた。「いがぶら」企画の一環で、自身の忍者修行を災害時の行動に応用した。「例えば地震。それが暗闇だったらもっと怖い。そのとき、こう動けばケガをせず、恐怖も和らぐはず」と三橋さん。伊賀市内にある自宅横の武芸道場で、その実技を私も体験する。忍者サバイバル術がけっこう災害避難に役立つことに驚いた。
目指す産土(うぶすな)武芸道場は伊賀市立阿山中学前の交差点を車で西に5分ほど行ったところ。周りは田んぼが広がる田園風景。この石川集落は歴史上有名な大泥棒、石川五右衛門の出生地だといわれる。五右衛門は忍者だったという説も伝わっている。
三橋さんは古武道歴約20年。現在は武神館道場最高位の大師範である。さっそく伊賀袴(はかま)をアレンジした忍者装束に着替え、形だけは忍者になる。相方は大津市から40分かけてやってきた玉田洋(ひろし)さん(56)。古武道に関心のある現役の会社員だ。
三橋さんはテレビや映画で横行している忍者のイメージを修正する。「忍者は隠密裏に目的地に侵入。任務を果たし、生還して報告する。見つからないで生きて帰る、これが忍者の主たる仕事。敵と遭遇、戦うのは最悪のとき。戦うイメージは別ものですよ」
現在、全国各地で地震が頻発している。三橋さんは長年、忍者修行する中で万が一、震度5、6度の地震が深夜に発生。停電し、真っ暗闇の中で住民はどうしたら安全に行動、脱出できるかを発想したという。「災害避難の訓練はだいたいが昼間の明るいうち。ところが1日の半分は夜です。暗いとき、どう行動したらいいか。一方、忍者は見つからないよう夜間の行動が中心。だから忍者の修行が夜の災害時に応用できるのではと考えたのです」
頭には東日本大震災時の光景がある。津波が背後に迫るのに、棒立ちになっている男性がいる。恐怖で逃げることができなかったのだ。これを「凍りつき症候群」と呼ぶらしい。「その場合、まず自分の気持ちを落ち着けることが第一。それができれば、状況に応じた判断ができたはずです」と三橋さん。
忍者には3毒という戒めがある。任務を言いつけられ「いやだな」と思う感情がわいたときだ……

続きは12月5日号の伊和新聞に掲載しています。
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