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ナマズ産卵おたすけ道 留い川に簡易魚道

国土交通省近畿地方整備局木津川上流河川事務所(名張市木屋町)は5月17日、名張川支流の留い(とめい)川と名張川との合流付近の段差に土のうを積み、ナマズの遡上を助ける簡易魚道を設置した。
平成9年河川法の改正により「河川環境の整備と保全」が加わり、魚の往来や、川から別の川への行き来のサポートなども同事務所の大切な業務となっている。名張川では平成26年10月、夏見の「高岩井堰」に簡易魚道を設置し、オイカワ、カワムツ等の遡上効果を確認したのが最初の試み。
ナマズは毎年5~6月に川から田に入って産卵する習性がある。今回のポイントでも、ナマズは名張川から留い川に入り、遡上して周辺の田んぼで産卵していた。ところが昨年5月、市内の河川協力団体NPO法人「地域と自然」(代表中西崇雄氏)の人々等が、留い川出口付近の50㌢程の段差で多くのナマズが遡上できずに滞留しているのを見つけ、当事務所に情報提供した。そこで土のうを斜めに積んで仮の魚道を設置したところ、遡上が確認できた。同時にナマズの動きを観察して分かったことは、単純に土のうをスロープに積むだけでなく、途中に休憩場としての窪み(踊り場)が必要など、ノウハウも分かってきた。この魚道は昨年6月の出水期を前に撤去したので、今年もこの日の設置作業となった。
留い川が名張川に流入する地点には河川改修で2019年に、両川の川面の高さを調整する樋門が設置され、川底の改修等で段差ができ、ナマズが遡上しにくくなったものと思われる。
土のう作業には、同事務所職員や河川改修業者、「地域と自然」のメンバーなど30人近くが参加し、約100個の土のうを作り、川の中に入ってスロープに積み上げた(踊り場も忘れずに)。6月の出水期には撤去し、来年もこの時期に設置するという。木津川上流河川事務所調査課の長坂健課長は「河川の生物多様性をまもるため、このような調査や改善は続けていく」と業務の大切さを語っていた。