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名張の伝統文化 能学に親しむ

名張市は観阿弥・世阿弥創座の地としてよく知られており、能楽や狂言は盛んである。しかし、高齢化の波はここにも押し寄せてきていて、このままでは能楽振興の衰退が懸念され、後継者不足も深刻な問題である。こうした現状に危機感をもった関係者ら市内の能楽の団体が集まって、「名張の伝統文化“能楽”を盛り上げる催し」を企画し、7月16日宇流富志禰神社で、「第1回能楽に親しむ催し」を開催した。
冒頭、来賓として挨拶に立った北川裕之名張市長は、「父親が能楽に関係していたので、子どものころから、謡を子守歌のように聞いていた」と、子どもの頃の思い出を語ると共に、「能楽のより一層の継承発展に期待している」と述べた。
今回は、名張能楽振興会・尾本頼彦会長による「天岩戸開きと能の繋がり」の話とともに、高砂の謡体験や笛・太鼓の能楽囃体験など、初めての人でも興味を持って参加できるようにした。笛の体験では、大人の参加者がなかなか音が出ず苦戦していたが、子どもお囃子教室で笛を習っている子どもたちの指導の下、練習の成果を発揮して少し音が出ると笑顔になっていった。当日は雨が激しく降っていたにもかかわらず、着物姿の人も多く、参加した30人はそれぞれの思いで、名張の伝統文化、能楽に関わって行く思いを強く持った催しであった。
名張の伝統文化“能楽”を盛り上げる催し実行委員会、能を考える会代表の山本勝巳さん(62)は「今は能楽や狂言に関する団体がそれぞれ活動をしているが、これから10年、20年経つと教える人がいなくなってしまう。そうなる前に裾野を広げていければと思い、今回初めてこうした催しを企画した。言わば能のSDGsだと言えるのでは」と能楽の未来を見据えた話をしていた。