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町家に響くジャズ

名張の旧町の町家で9月3日、ジャズライブが催された。会場となったのは、テレワーク用コワーキングスペース「FLAT BASE」と「立呑み屋らんぽ」(元町)で、築100年以上の町家を改修して隣り合う2軒。演奏は、1STステージが午後5時から「FLAT BASE」で、2NDステージが午後6時30分から「立呑み屋らんぽ」で行われた。
演奏は名古屋を拠点に活躍している平光広太郎(pf)、出宮寛之(ba)、大森ひろ(ds)によるピアノトリオ。1STステージは時間も早く、子供たちもいてポップな曲で楽しませた。2NDステージはFly me to the moon、やMoon river等スタンダードナンバーを中心に、しっとりとしたジャズクラブの演奏を楽しんだ。幅約4㍍、奥行き約10㍍のスペースにピアノトリオと20人以上の客が入り、演奏者と客の距離感も丁度良く(客は飲食行為以外はマスク着用)、古い建築に音楽が響いて、心からジャズを楽しんだ。リリカルなピアノソロ、深いリズムとトレモロが楽しいウッドベース、繊細なブラッシュワークがしゃきっと聴きとれるドラムス。すべてが優しくいつまでも聴き続けていたい至福の時間。リーダーの平光さんも「お客さんの気持ちがこちらに伝わってくる。本当に演奏しやすかったし、町家の音響効果が素晴らしい」と喜んでいた。
地元(豊後町)から来た女性(30代)は「名張ではジャズを聴くチャンスがない。目の前で演奏を聴くと楽器の音が違う。もっとこんな企画が欲しい」と感激の様子で話していた。富貴ヶ丘から来た高校生の白井秀和さん(18)は「名張ではジャズを聴く機会がない。今日は1、2ステージとも聴いたが、来てよかった。身体の振動を楽しんだ。家の周りは自然がいっぱいあって、川の音、鳥や虫の声、雨の音すら楽しめる。古い町家で聞く音楽は、自然の音の延長線上にあるような気がする」と繊細な感受性ならではの話をしてくれた。
主催者「立呑み屋らんぽ」の藤木泰之(52)さんは「ジャズが旧町に根付くきっかけになればよいと思う。今日は両ステージとも満席状態であったし、次を考えたい」と手ごたえを感じていた。