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高校生が考える地域とは・名張高校で架空模擬市長選挙実施

三重県立名張高等学校(中山隆之校長)で11日、地域と高校生の関わりについて、地域で活躍している人を招いて座談会が行われた。
総合学科を設置する名張高校では、1年次には「産業社会と人間」をテーマに主権者として「自律」とともに、他者と「協調」しながら生き抜き、地域の課題解決を「創造」的に担うことができる力を養う授業を行っている。(「自律・協調・創造」は校訓)
今回は、まちづくり協議会や地域活動家、「なばり学」の指導者、消防やマスコミ関係、同校卒業生など、10人の地域で活躍している人をゲストとして招き、それぞれがどのような活動をしているのかなど、ゲスト1人と10人程度の生徒で1グループを作り、各グループごとに話を聞いたり、質問したりする座談会を行った。また、高校生自身が今まで地域とどのように関わってきたかといった、自らの経験や考えを交流した。こうした取り組みは今回が初めてであったので、高校生たちはやや緊張気味であったが、ゲストの名張に対する思いや活動の様子などを熱く語る姿に接し、名張の事を思い、考え、愛していることに共感している様子が伺えた。高校生の中には、「名張学園祭」に参加し、地域との関りに喜びを感じたという意見を述べる人もいた。担当の小川由佳主幹教諭は「1年生の地域学のまとめとして地域の方に来ていただいたが、生徒にとって地域でこれだけ多くの方が関わっていることや自分自身もこれから地域に関わって行きたいという思いを持った生徒が多かったように思う。来年度以降もぜひ実施していきたい」と話した。
引き続いて、会場を教室から総合棟に移し、今年が2回目となる「名張市長架空模擬選挙」を実施。立会演説会を開催した。同校2年担当の松井俊樹教諭、同校卒業生で奈良県立大学2年の杉田香乃さん、地域の活動家で新聞販売店経営の伊集基之さんの3人が立候補者となり、傍聴の1年生を前にそれぞれの公約について熱弁を奮った。松井さんは、同校2年生が考えたまちづくり、福祉、教育について、杉田さんは、大学で勉強している地域活動や空き家を利活用した多世代型福祉施設の設置について、伊集さんは、自らの地域活動の経験をもとに「名張福祉大学」設立構想などについて演説を行った。演説終了後、メモを取りながら聞いていた高校生からの質問も多く出、各候補者は誠実に応えていた。
いよいよ投票が行われ、生徒は意中の候補者の名前を投票用紙に記入し、名張市選挙管理委員会から借りた本物の投票箱に投函した。その後、開票作業を行い、選挙管理委員会から得票数が発表されたが、その間3人の候補者は緊張の中でその瞬間を待っているなど、架空模擬選挙とはいえ、来月17日に実施される第18回名張市長選挙を思わせるに足る雰囲気であった。投票の結果、「名張に住みたい、帰ってきたい」「名張が好き、そう言える街にしたい」と訴えた松井さんが当選となり、候補者名を書かれた掲示用紙に赤いバラの花が飾られた。架空模擬選挙の進行を務めた山本遥香教諭は、投票を終えた生徒たちに「座談会に出席の10人はそれぞれ違った形で地域との関わり合いを持っているが、共通して言える事は、名張を良くしていきたいという思いである。今日名張の課題を知り、考えて、自分の意志でもって投票する。これが主権者である。皆さんは2年後、選挙に参加する権利を持つし、こうした学習により深く選挙に取り組める。実際に主権者となるという自覚を持って選挙に行き投票するとともに、今日ゲストとして来ていただいた方々のように、今高校生としてできること、将来地域を支えられるようになることを期待している」と話した。
投票を終えた後藤麻緒さんは「自分の考えをもって投票することの大切さを学んだ」、古泉七美さんは「18歳から実際に選挙する上で大変よかった」、郡真奈美さんは「今まで選挙について興味がなかったが、今回模擬選挙をやってみて18歳から投票に参加していこうと思った」などの感想を述べた。また投票したポイントを尋ねると、「政策が具体的でわかりやすいこと。実際にできるか」などを挙げた。中山校長は「こうした地域の課題について総合的に学べるのが、総合学科を有する名張高校の大きな特色である。市長選挙は2回目、座談会は初めてであったが、これからも地域の方に支えていただきながら、主権者教育を始め地域とともに歩む本校の教育を推進していきたい」と語った。