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3年ぶり宇流冨志禰神社の秋祭り

獅子神楽・荒獅子の奉納に感動
名張市の宇流冨志禰神社の秋季例大祭が10月30日に執り行われた。境内では南町神事講獅子神楽保存会による3年ぶりの獅子神楽と荒獅子の奉納に、集まった約300人の参拝者が引き付けられていた。
例年行われる太鼓台やだんじりの練り歩きは、新型コロナウイルス感染症対策で昨年と同じく見送られたが、10月23日から御旅所に滞在していた神輿(みこし)はトラックに乗せられ、午後2時前に出発し、講の男性たちが「チョーサ、チョーサ」の掛け声で先導しながら旧町を隈なく巡って神社に向かった。一の鳥居から神社境内までは、屋台も並んで、多くの人出で賑わっていた。
午後3時頃、神輿が神社に到着し本殿前に設置されて神事が始まる頃には参拝者が次々に集まり、獅子舞の獅子頭が人々の間を回りながら、子供たちの頭を噛む所作でカタンと歯を鳴らすと、子供が泣き出し、大人が笑う。神事が終わると、縁起の良い面や衣装を着けた鍛治町の人々による「七福神の舞」が流麗に奉納された。
その後獅子神楽保存会による獅子舞が始まった。まず鈴を振り刀を振りながらの「獅子神楽」の舞で厄を払う。格調高い舞である。次に天狗が登場して獅子と絡み合う「荒獅子」では、天狗が獅子を怒らせ、獅子は髪を振り乱して怒り狂ったり、とんでもなく背が高くなったり、舞と姿と表情がどんどん変わる。天狗が獅子に乗ったり、二人同時に飛んだりする。天狗と獅子は、常に小気味よく鳴り続ける太鼓の音とリズムに合わせて舞っている。太鼓からそれることはない。観衆の目と耳も引きつけられる。あちこちからおひねりが飛んでくる。時に色っぽい所作も感じさせるが、最後に天狗と獅子は激しく仲直りする。大きな拍手と歓声で1時間以上の奉納舞が終わった。大変優れた民俗芸能であり、口承のみの伝承であるというから、何世代にも亘って続けている講の人々の努力はいかばかりかと思った。獅子舞奉納の終わりと共に秋季例大祭もお開きとなった。
「御旅所」について
御旅所とは何か?宇流冨志禰神社の中森孝栄宮司(72)に伺った。「神は1か所にずっといるだけでなく、時には自分が守っている地域の人々の暮らしぶりを隈なく見回ってみたいと覆っている。それで神輿に乗って人々の生活を見ながら移動し、滞在するところが御旅所である。また、神も時には別のところで気分を変えたいという人間的な側面も持っているのではないか」と簡潔明瞭に答えて頂いた。