色彩溢れるシャッターアート完成
市民センターがフォトスポットに
名張市蔵持市民センターは「夏休みこどもスペシャル」として夏のイベントを企画している。シャッターアートもその一環で、三重県立名張高校美術部に制作を依頼したところ部員たちが即「やりたい!」。その後、英心高等学校桔梗が丘校と共同制作することに発展した。猛暑の中、高校生ら15人は7月23日から4日間かけて描き、26日その絵が完成し披露された。中央に虹のアーチを大きく配し、左側に爽やかな青空に色とりどりの風船が立体感を持って浮かび、対面には可愛いクマさんが風船を持って浮かんでいる。色鮮やかで楽しいアートは、市民センターを一気に地域のシンボルに。浮かぶ風船を纏めている糸の端は、写真を撮る時、人が風船を持てるように空けてある。絵のタイトルは「虹の世界へ」。
シャッターはセンター玄関の横にある防災用品倉庫で、訓練の時以外は殆ど閉めたまま。大きさは高さ、幅とも約2・5㍍。市道に面していて良く目立ち、効果は絶大。
原案作成にあたっては名張高校の部員たちがミーティングを重ね、それを纏めてイラストにしたのが1年生の稲垣朱莉さん(15)。「地域を元気に!人が絵の中に入れて撮影スポットになるように、近くの小学校や、目の前のこども園の子どもたちにも人気が出るように、明るく楽しい絵になるように考えた。こんなに大きな絵を描くのは初めてなので、バランスを取るのに苦労した」と話した。
名張高校3年で美術部部長の田中美咲さん(18)は「英心高校と一緒に仲良く作業できた。明るく楽しい絵になった。最高の出来!」と喜びを表し、英心高校3年の小松仁さん(17)は「人と話すのが苦手でドキドキしていたが、時間がたつと打ち解けてきて楽しくなり、今は終わりたくなくなっている。楽しかったし仕上がりは最高!」と笑っていた。
名張高校の美術部顧問の杉本友香先生は「生徒たちが自分たちで相談し、楽しみながらみんなで協力して仕上げた。本当に成長してくれた」と話し、英心高校の文芸ゼミ顧問の佐藤俊平先生は「こういう外部の人と一緒に、というのは初めてなので、始めは緊張していた。名張高校の皆さんと仲良く楽しくやれて、この活動に入って本当に良かった」と安堵していた。
もう一人の参加者
今回絵を描いたのは、総勢15人。名張高校美術部9人、英心高校文芸ゼミ5人。もう1人は、今春名張つばさ学園を卒業した前田育実さん(18)。絵が好きで、家のアトリエで絵を描いている。彼女は会話がスムーズにできない、緊張すると言葉が出てこない。母親の友子さんは英心高校の非常勤の英語の教諭で、シャッターアートの話を聞き、育実さんが参加できないか市民センターに相談したところ、やってみようと言うことになったという。ところが「案ずるよりは産むがやすし」とはよく言ったのもので、作業仲間とは普通に会話ができ、しかもLINEの交換もするように。「1人で黙々と絵を描いているのも良いが、外に広がるチャンスがあればと気付かせてくれたのも、周りの生徒さんの優しさのおかげです」と感謝の言葉を口にした。
三瀬幸綱センター長(76)は「地域が明るく、人は繋がるものと言う思いがあった。生徒さんたちも繋がりができた。描いている生徒さんに、通りがかりの人が声をかけていた。この絵から色々なつながりが始まったのを感じる」と、このシャッターアートが地域にもたらす明るい効果に期待を込めて話していた。