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「乱歩誕生」おきつも名張劇場が公演
おきつも名張劇場創立40周年記念・第25回公演「乱歩誕生」が10月22日、adsホール(松崎町)で開催される。この舞台のために中相作氏が書き下ろした作品。岡田文化財団助成。
舞台は明治27(1894)年10月18日、21日、27日、28日の名張。日清戦争が日本の勝利に終わり、宇流冨志禰神社の祭りが近づいている10月21日、乱歩が生まれた。その前後の出来事が物語。乱歩の父の平井繁男、母のきく、祖母の和佐の周囲では、大家の横山家に怪人二十面相から「家宝を頂戴に参上」との予告状が届き、探偵明智小五郎が登場する。一方、清国のスパイを捜索する警察官たちが家宅捜索し、少年探偵団が走り回るなど、いささか騒然としたなかで乱歩が誕生する。
展開の中で乱歩の小説が、そのままの文章でいくつか取り上げられるが、舞台をみる人にはいくつ分かるだろうか?事前に種明かしをすると、「お勢登場」「人でなしの恋」「怪人二十面相」の3話は舞台の上でめくりで表現される。その他では「黒い魔物」「二銭銅貨」「屋根裏の散歩者」「少年探偵団」「孤島の鬼」が取り上げられている。興味のある人は事前に読んでおくと理解が深まるかもしれない。
不思議な戯曲で、怪人二十面相も明智小五郎も少年探偵団(ここでは少年団)も、後に小説家になった江戸川乱歩が創作した人物。乱歩が生まれた時に既に存在している不思議さが面白く、乱歩流中相作世界が出来上がっている。乱歩を尊崇する戯曲家の面目躍如である。
蔵持市民センターに7日、練習の取材に伺った。ストーリーのほぼ前半を見ることができた。少年団のリーダー横山正四郎を演じる中学1年の大園千愛(ちなり)さん(12)は「少年団になりきるのが面白い。昔のこどもは仲間と表で走り回っていたが、今のこどもは家の中でゲームしたりして、全然違うところも面白い」と話した。
演出の萩森孝行さん(69)は「乱歩が生まれた時、産婆さんが間に合わなくて近所の人が取り上げたらしい。切迫していたのは、この台本通りである。劇を見て、ここ名張新町で乱歩が実際に生まれたことを実感して欲しい」と乱歩愛を込めて語っていた。
入場料は一般前売りが1500円(当日1800円)、学生(小中高生)が500円(当日800円)。お問い合わせ、申し込み先は萩森さん(三枝堂分店63・2279)まで。