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世界の平和と幸福祈り 美旗中村どんど焼き
名張市美旗中村の農村公園で1月13日、この地区で370年続くといわれる「新春どんど焼き」が行われた。元々子どもたちの正月行事であったが、少子化で子供会だけでは難しくなってきた。そこで2005(平成17)年、大人たち有志による「美旗中村どんど保存会」が立ち上げられ後世に継承することになり、今年で20年になった。
どんどは、太めの青竹を中心にして周囲に青竹12本をねじり上げて束ね、先端に藁で作った馬をぶら下げて立ち上げる。どんどの歳神様が炎と共に天に帰る時の乗り物という。今年は17・2㍍の高さになった。12本の青竹の下部は広げて直径約3㍍の、檜の葉や藁で出来た「かまくら」を支える構造になっている。ここに正月飾りや前年のお札などを入れる。柱に沿って掲示する標語の垂れ幕は毎年区民から公募。今年は31人の応募作品の中から選ばれた「時代を超え未来につなげよう希望の炎」。
午前7時、近隣の人々が続々と集まる中、大福寺住職による「撥遣の作法」の法要が行われ、かまくらに火が入れられ、燃え上がる炎と煙に歓声が上がった。炎が治まる頃に朝日が昇ってきた。人々は長さ約2メートルの竹棒の先に餅を刺して焼いた。これを食べると1年間、病気知らずになるという。
当保存会の髙波秀彦会長(73)は「毎年地震や災害が発生し、世界では戦争でこどもたちや多くの人々が犠牲になっている。世界が平和であるように、そしてどんど焼きが末永く続くように祈る」と、どんど焼きへの思いを語った。 20周年記念のリーフレット作成
美旗中村どんど保存会は、創立20周年を記念して「美旗中村のどんどミステリーズ」と題するリーフレットを作成した。ミステリーの1番に、伝統行事としての「どんど」の歴史を調べ直し、2番目に「どんど」の構造を解説、3番目に「どんど」の宗教や生活に関わることや、口伝故に理由が分らないことなど、ほぼ全てを網羅して簡潔明解に記述した。B4横3つ折り両面印刷の体裁の良いリーフレットに仕上がった。約700部印刷して市役所、教育委員会、市立図書館、市民センター、小中学校に配布し、この日の来場者にも渡していた。作製に尽力した歴史語り部の坂口嘉博さん(70)と髙波会長は「多くの人に知って頂き、長く伝えるために役立てば」と話している。