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乱歩の命日・石榴忌 読書会の女性ら乱歩碑に献花

名張出身のミステリー作家・江戸川乱歩の命日(7月28日)は、作品名にちなんで「石榴忌(ざくろき)」と呼ばれるが、その前日、生誕地近くの生誕地碑に5人の女性が花を捧げ「現世(うつしよ)は夢 夜の夢こそまこと」と唱和した。
集まったのは、乱歩の作品をこよなく愛す女性たちだけのグループ「幻影嬢」の人々。乱歩の評論集「幻影城」から名付けたという。旧町で「古書からすうり」を営む中田茂美さん(56)が主宰、2022年7月から2か月に1回読書会を開いている。この日は30~50代の5人が参加し猛暑の中碑に詣で、その後近くの集議所を借りて読書会を行った。
読書会のこの日の課題は「屋根裏の散歩者」。乱歩愛好家の5人は、さすがに、それぞれ読んでいる本が異なる。文庫本や復刻版と思しきもの、全集からの1冊や初版本もあるかもしれない。それを元に様々な解釈や感想が飛び交っていた。
課題の作品は何をやっても面白くない、直ぐに飽きてしまい、世の中全てに興味を持てなくなる男が主人公。ある時、下宿の天井裏に入って歩き回る楽しみを発見し、遂に殺人を犯す。定番の探偵・明智小五郎が登場して主人公を追い詰める。「主人公は、自分に対しても傍観者だから、何をやっても夢中になれないのでは」や「冷静な表現の乱歩が、殺人の断末魔を微に入り細に入り描写するのが、本当に現場を知っているようで怖い」、「一番怖いのは明智小五郎さん」など様々な話が交わされていた。名張市の会社員佐藤はなさん(31)は「人が共通に持っていて、しかも、隠したがっている後ろ暗さを書いているのが素晴らしい」と、乱歩を読む楽しさについて語っていた。