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予期せぬ“教え”に高校生が感激 藤堂家「名張の美」展

陶芸家・角谷英明、組紐作家・中内中、日本画家・津田親重(年齢順)の3作家による「名張の美」展が10月2~6日、名張藤堂家邸で開催された。歴史的建築における3人の作家の組み合わせの展示は苦労が偲ばれるが、キュービックな和風建築の中で要所要所の生け花が空間を結び付け、3人の作家の個性を引き立てて見ごたえある展示になっていた。
取材中、熱心に展示を見て回っている1人の高校生・名張青峰高校3年生の井上頼人さん(17)に出会った。渓流に流れが沸き立つ津田さんの「雲泳ぐ」を見て「言葉が出ない」と感嘆し「美術系の大学に進学を考えている」とのこと。1時間ほど前に「龍を描く」ライブパフォーマンスを終えた後の津田先生に紹介すると、熱心な若者の雰囲気に喜んだ先生は、2・3・4日の3回のライブパフォーマンスの作品を全て畳の上に広げ、絵の由来から熱心に語り始めた。
美術を志す若者に、毎日筆を使って描き続けることの大切さ、そのことが筆の加減を身体に覚えさせること、同じ絵を毎日描くことの意味、大きな絵を描く時はどんなに疲れていても、その一部の10㌢角ぐらいでも、毎日描き続けることが大事だと。絵の中に白い部分があり「これは色を塗ってなくて下地のまま」と言って驚かせ柔軟な考え方等も熱心に伝えていた。井上さんは「この絵が一番好き」と、はっきり好みを言うのも良かった。「マジ、凄い。こんな機会初めて。友達に自慢する」と大いに感激していた。日頃から若者の指導に熱心な津田さんの人柄に、改めて触れた思いがした。
「名張の美」展について津田さんは「藤堂家という器が、作品を引き立ててくれる」と会場の可能性について話していた。