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伊賀の獅子舞・獅子神楽が大競演 賑わう伝統芸能フェスタ
伊賀地区の獅子舞・獅子神楽が一堂に会する「伝統芸能フェスタ 集え!伊賀の獅子舞大集合」が2月16日、伊賀市文化会館(同市西明寺)で開かれた。三重県には200近くの獅子舞が伝わり、その内伊賀地区には80近くの伝承があると言われている。伊賀の獅子舞は、上野城の鬼門の方角にある敢国神社を鬼門鎮護の神として、藤堂高虎が信仰したことから始まるとされている。監修した三重県総合博物館の福田良彦主査は「獅子舞は村の祭りとして伝承されてきたが、残念ながら村以外にはあまり知られていないのではないか。それぞれが独自の個性を持って伝承されてきた。それらが一同に会することに意味があり、それらを見て次世代への伝承につながればと思う」と熱く語っていた。
この日は、春日神社獅子神楽・若宮八幡神社獅子舞・鸕宮神社獅子神楽・田守神社奉納獅子舞・西宮本獅子舞・宇流冨志禰神社獅子神楽・都美恵神社獅子神楽・東部区獅子舞・里獅子神楽・敢國神社獅子神楽を継承している10団体が、午前と午後に分かれてステージに登場。それぞれの個性ある舞に、客席から盛んな拍手が送られた。
伊賀一之宮の敢國神社獅子神楽保存会の岡野幸男会長(60)は「高虎城の鬼門の方角の敢國神社で信仰を集め、正月に城内で舞ったと言われている。以来伊賀中に舞を巡礼し、昭和29年に無形文化財に指定された。今日は色々な舞が集まっているが、名張の舞を見るのは初めてで楽しみにしている」と話していた。
午後の部の1番には、唯一名張から参加した「宇流冨志禰神社獅子神楽」を南町神事講獅子神楽保存会が熱演した。太鼓だけの伴奏に鼻高(天狗)と獅子の動きがぴたりと合い、静と動とのダイナミックな組み合わせが観衆を集中させた。最後の二段継ぎはひときわ高く、客席から大きな拍手が沸いた。同保存会の菊山賢二会長(59)は「名張から唯一選んでいただいたので、存在感を発揮できるような演技を心掛けた」と、話した通りの演技を披露した。3番手の阿保東部区獅子舞保存会による「東部区獅子舞」は鼻高(天狗)の子供が終始獅子と絡みあい、熱演に盛んな拍手が送られた。最後の敢國神社獅子神楽保存会による「敢國神社獅子神楽」は、儀式舞、広舞、剣舞、鼻高舞、荒舞と様式もしっかりし、さすがに伊賀・名張地区の獅子神楽の元祖として格調も高く、途中でMCの女性の頭を噛む等の親しみ易さを込めたものでもあった。
会場の内外は子供連れが多くて、ワークショップ、ゲーム、縁日やキッチンカーで賑わった。監修した福田さんは「多くの人に来ていただいた。この機会に他の団体の舞を見て、知っていただくことも大事。子どもたちも多いので獅子舞に馴染んでくれれば本当に有難い」と話していた。MCの女性が「祈りであって楽しみであり、それが地域の力になる。誇りになる」とアナウンスしていたのが印象的であった。