1. HOME
  2. 今週のトピックス
  3. 健康寿命を10年延ばす 第14回名張で学ぶがん医療

Topics

トピックス

健康寿命を10年延ばす 第14回名張で学ぶがん医療

名張市がん・難病相談室(広野光子室長・82)が主催する「第14回名張で学ぶがん医療」が、5月26日名張市教育センター(百合が丘)で開催された。今年のテーマは「『健康寿命』でがん・血管病・認知症を防ごう」で、京都大学医学部名誉教授・滋賀県顧問の笹田昌孝さんが講演。笹田さんは、がんを生活習慣病として捉え、健康的に暮らすことでがんを予防することを話した。がんは高齢者の病で、60~80歳代に多くピークは男性が70代、女性は80代。がんを予防する時のマイナス要因は肥満がトップ、プラス要因は運動・よい食事・心の健康が大切とのこと。
高血圧・糖尿病などの生活習慣病は、運動と食で予防する。薬を飲んで正常値になった高血圧や糖尿病は治ったことにならない。薬なしで正常値になることが正しく治ったということで、病気を正しく治すには、医師と良く相談することが大切。
認知症は、80歳を過ぎると女性の率が高くなる。女性は歩かない人が多く、歩かないと加齢とともに足の筋肉量がガクッと落ちる。足は第2の心臓と言われており、歩く時の筋肉の収縮で、脳に血液が送られる。脳は全身の2㌫の容量しかないが、心臓からの血液の15㌫を受け取り、全身のエネルギーの20㌫を消費しているので、足を使うと脳への血流が増える。
また、五感(目、耳、鼻、口、肌)の刺激が脳と心のスイッチを入れる。例えば毎日家から外に出る(足を使う)。花を愛で、鳥の声を聞き、感嘆の言葉を発し、深呼吸し、肌に風を感じる等。買い物、役所での手続き、病院通い、銀行、図書館など日常生活を「自立」して、子どもたちの送迎や、見守り隊、保育など少しでも「社会に役立っている」ことが高齢者の健康づくりの具体策と言える。  以上が笹田さんの講演の流れであり、講演終了後も相談する人の列ができていた。当日は先着100人募集のところ、約130人が来場した。「歩くことが大切」「五感を感じて」など、理解しやすい話に、熱心に耳を傾けていた。
百合が丘の土井久子さん(72)は「これからどのように生活すればよいか、頭の中が整理できて本当に分かりやすかった。運動の大切さも良く分かった」と満足そうだった。
広野室長は「自分の寿命は自分で伸ばす。決して難しい事ではないと言うことを話して頂いた。五感を刺激する日常など、すぐに実践できる。皆さん熱心に聞いて頂いて本当に良かった」と講演会の成功を喜んでいた。
講演の後は、「癒しのコンサート」として、後藤誠司さんのハーモニカ演奏と、ひまわりコーラスの女声合唱が「七つの子」「ゆりかごのうた」など親しみやすい曲を披露。
会場の受付けなどは、がんの治療前や治療後にカウンセリングを受けて元気づけられた「がんを明るく前向きに語る・金つなぎの会」の人々が、また名張市福祉子ども部医療福祉総務室が、会場の運営や駐車場の整理など、全面的に協力していた。