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初夏の風情 花筏と竹行灯
名張市中町の城下川に5月27日、今年も花筏が2基浮かべられた。設置したのは、川の景観を守ろうと活動する、川の会なばり(福廣勝介代表)の人々。名張地区まちづくり協議会や地元の人たちと協働で設置した。筏に載せる花しょうぶも、東町の畑で会員が愛情込めて育てている。
福廣さんは「川の会なばりは1990年、仲間が集まってできた。当時の城下川は汚くて臭いもひどく、川底はドロっと黒くぬるぬるし、地元住民からは見向きもされなくなっていた。しかし、この川を名張の宝と思う人々が集まり『この川を、みんなに注目させよう。これではアカンと思わせよう』『菖蒲を浮かべてみたら、川を見るだろう』『みんなに川がきれいになるとどんなに素敵だろうと思ってもらおう』と言って始まったのが、花筏だった。
面白いことに、初期のメンバーの殆どが、外から引越してきた新興団地の人々だった。この人たちは城下川と旧町に愛着を感じ、宝だと思って集まってきた。川がどろどろで臭くて、花筏を浮かべる作業は大変だった。20年以上頑張って続けていると、10年ほど前から川が綺麗になったと感じてきた。一旦きれいになりだすと、汚す人は少なくなってきた。最近は役所の人々が家族連れで見に来てくれたし、まちづくり協議会の人も応援してくれる。今年は川に入ると快適で魚も多く見られる様になった。これからは、これをみんなで守っていかなければならない」と話した。
昨年から川沿い約100㍍に竹行灯も設置され、旧町の宵の散策を彩っている。昨年は花筏のそばのアジサイにホタルが2匹飛んでいた。今年はまだ見ないがそろそろ飛び始めるのではないだろうか。
午後7時頃、本町から来た女性(73)は「中町を通ってぼつぼつ歩いて来たら、この風景にめぐり合った。すごく嬉しくなった。コロナでずーっと何事も控えていたが、ほっこりした気分になった。嬉しいです」と喜んでいた。
取材時、開花した花しょうぶの数はまだ少なかったが、1週間ほどで満開になるというので、今週末ぐらいが見頃。竹行灯は5月29日まで設置されていたが、花筏は今月11日に撤去される予定。