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古代の名張へタイムスリップ

名張市教育センターは7月9日、「親子で学ぼう『なばり学』教室」を夏見廃寺で行った。なばり学の授業は通常は学年単位やクラス単位で行うが、当施設の歴史や文化の理解を求めるには小人数単位が望ましく、親も体験できればと考え、今回は市内の各小学校に親子で参加を呼び掛けた。
この日は小学校5校から児童13人、保護者14人の参加があった。解説指導は名張市教育センター学校ボランティア室の谷戸実さん、上谷典秀さん、杉森弘章さんと名張市教育委員会文化生涯学習室参事の谷口文隆さんの4人。
プログラムは谷戸さんによる施設の紹介と概要説明が初めにあり、ビデオ・古代ロマン夏見廃寺の「大化の改新~壬申の乱~大来皇女と大津の皇子の物語」を見て、古代の名張と夏見廃寺をひととおり理解してもらい、続いて谷口さんによる瓦や塼仏(せんぶつ)等の出土品の説明、歴史上の事実を確認した。全員で受講するプログラムはここまでで、以降は3つのグループに分かれ、順次すべてを体験した。
プログラム①は、ヴァーチャルリアリティによる「古代のお寺を再現」。参加者はタブレットをもって遺跡に立つ。遺跡の本堂に向けると本堂の外観が映し出され、歩いていくとどんどん近づき、中に入ることができる。柱が林立し、間に仏像が見える。五重塔、講堂でも同様に楽しめる。指導は上谷さん。
プログラム②は、「古代人になりきろう」。数種類の古代の衣装が用意されていて、着替えて立派な本堂の復元展示の前で写真撮影をする。勾玉のアクセサリーがあり、高松塚古墳壁画の女性の衣装などもある。指導は杉森さん。
プログラム③は、「仏さまをつくろう」。紙粘土を型(約4㌢×9㌢位)に押し込んで塼仏作り体験。注意深くしっかり押し込まないと細かいところが欠けたりして上手くいかない。作品は数日預かり、乾燥させたのち、児童の学校に届けられる。指導は谷戸さん。
子どもと一緒に参加した母親は「本当に分かりやすくて、楽しくて、夏見廃寺がどんなに重要な施設かよくわかった。名張の人にもっと知って欲しい」と感激の様子だった。
桔梗が丘小学校の橋本茉莉果さん(4年)と弟の修弥くん(1年)は、「タブレットで、柱がたくさんあるところに入り込んだ。迷路みたいで、そこに石像があったりしてドキドキした。塼仏は型押しが大変だったけど出来あがりが楽しみ。衣装は着心地が良かった。先祖にタイムスリップしたみたい」と楽しそうに話してくれた。
利用者増加のヒント
今回使ったヴァーチャルリアリティのタブレットはテスト用で、現在の夏見廃寺には用意されていない。たとえ1台でも導入されれば、地味なイメージの夏見廃寺に有効なツールとなるのは確実。塼仏作りは、出来上がると可愛いマスコットの仏像になるので、人気のあるツールとなるはず。古代の衣装体験と3つ併せて、夏見廃寺は口コミやSNS等で広がるだろう。今回の「なばり学」は利用者の増加に大きなヒントを与えてくれたのではないだろうか。