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名張にもあった戦争2024展 市立図書館ラウンジ

名張市立図書館(桜ケ丘)で7月31日まで、名張にもあった戦争2024「平和への祈り」展が開かれている。戦時中の名張は内陸部の小都市で大きな空襲は無かったが、戦闘機による機銃掃射で多くの死者やけが人が出た。焼夷弾による大火もあったし、青蓮寺山中にB29が墜落し、生き残った搭乗員は奈良に送られて処刑された。今年は「あの戦争」を繰り返してはいけない「平和への誓い」を風化させないよう、「平和への祈り」のサブタイトルをつけ、それぞれの展示に「祈り」を込めた。
「戦没者追悼式」と各地域の慰霊(忠魂)碑のパネルでは、毎年春と秋に行っている戦没者慰霊祭が、高齢化やコロナでもあり意義が薄らいでいる面もあるが、兵隊に召集された若者の名簿は、各地域から役場に届けられた。兵隊を送り出した責任もあり、今でも地域が主催者となって遺族を招いて慰霊祭を続けている事に意味がある。また、名張市内の慰霊碑、忠魂碑の地図も掲載されている。
広島の平和記念聖堂にはキリストの秘跡を表した欄間彫刻がある。名張出身の彫刻家・坂上政克が他の彫刻家と2人で制作したもの。今回会場には、坂上氏が制作した木彫の「麦をまく農夫」像が展示され、名張駅西口ロータリーにある「観阿弥旅姿像」の写真が展示されている。このパネルに続いて、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が広島平和アピールで発表した「戦争は人間のしわざです」で始まり「ヒロシマを考えることは平和に対して責任をとることです」で終わる言葉が示されている。展示では「千人針腹巻」があり「千人針は多くの女性に協力をお願いしなければならない。出征兵士の家族は人通りの多い名張駅で協力のお願いをした」と説明がある。
正面の展示ケースには「平和の為に 或る一等兵の戦場体験記」の絵が掲げられている。満州に派遣されていてソ連軍と戦いシベリアに抑留、帰国後に画用紙に描き直した70枚の内から選んだ12枚。満州のハイラルに派遣され、日ソ不可侵条約を一方的に破ったソ連兵が攻め込む街の惨状、戦車と戦う場面、捕虜になりバイカル湖のほとりで列車が止まったので飯盒を持って水汲みに降りて行った兵隊に、ソ連兵が自動小銃を打つ場面など、貴重な体験記資料ばかり。作者の小松勝喜さんは1924年生まれの熊本の人だが、晩年は名張に在住した。
当図書館が蔵書する、後世に残すべき「先人の記録」16冊のリストもある。また児童書コーナーに「戦争の本、平和を願って」が陳列されている。図書館の山口浩司館長は「戦争を知る人がどんどん減ってきて、貴重な体験を聞く機会が減る中で「祈り」の気持ちをテーマに今回の展示を考えた。「祈り」の気持ちで、一つ一つの展示を見ながら、平和について考えて頂ければ」と話した。