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名張の年末の風物詩「第九」平和を祈る~歓喜の歌~響く
「能登半島震災復興支援 第32回市民コンサート『第九』」が12月15日、名張市松崎町のadsホールで開催された。主催は「名張第九を歌う会(松岡壽夫代表)」。指揮・朝倉洋、管弦楽・大阪市民管弦楽団、独唱・神山知香(ソプラノ)、澤実香(メゾソプラノ)、一海靖晃(テノール)、上ノ坊正明(バス)。合唱・名張第九を歌う会、第九を歌う仲間たち、合唱指揮・一海靖晃、名張第九を歌う会は10~80代のメンバー52人が当日参加。応援の第九を歌う仲間たちを加えて73人の合唱団となった。
プログラムは第1部が伊賀で活躍する家族4人組のバンド「Fukuoka Family Friendly」による、アルトサックス2本、キーボード、ドラムの軽音楽アラカルト。途中で観客を10数人ステージに上げ、ヤクルトの容器に米を入れた手作りのマラカスを手渡して共演する等、美しいサックスの音色と共に聴衆を楽しませた。
2部の第九の演奏に入る前、指揮者の朝倉さんが「第九よもやま話」を行った。「おお友よ!」や「兄弟よ、互いに抱き合え!」の歌詞が、フランス革命後の民衆に与えた衝撃的な意味を解説した。「今日、ここで皆さんと一緒に高らかに友愛の歌第九を歌う。世界は少しも変わらない。とても微力だが無力ではない。音程や発音を気にしないで大きな声で歌ってください」と話しかけた。続いて合唱団のメンバーが、第九で最も有名な箇所の歌唱指導をした(通称Mの箇所)。本番でここに来ると、会場全体が一緒になって歌うことになる。これこそ、この合唱団の他にない特色。
2部の「第九」が始まった。1~3楽章の演奏では、朝倉さんの指揮は緩急が明確で強弱のメリハリがはっきりしている。いよいよ第4楽章に入るとその傾向は更に明確になった。音楽のノリが良くなった。楽章の4分の1ほど過ぎたあたりで、フォルテッシモでGott(神)を4回繰り返すところがある。4度目のGottをフォルテッシモで長く伸ばしてスパッと切った。一瞬の静寂。思わずかなりの拍手が沸き起こった。Mの箇所にくると客席の照明が明るくなり、朝倉さんは客席の方を向いて指揮をし、会場全体で「歓喜の歌」の大合唱となった。緩いところはたっぷりと、急なところは更に早く音楽が進み、最後のプレスティッシモ(Prestissimo)は猛烈に早い音楽となり、強烈な集中力で音楽が終わった。会場からは幾人ものブラボーの声と鳴り止まぬ大きな拍手が続いた。
朝倉洋さんの指揮と大阪市民管弦楽団の演奏は、14年間12回続いたが今回で一旦終了。令和7年は伊賀コミュニティオーケストラとの共演となり、全て伊賀地域出身者での取り組みとなる。演奏会は11月30日の予定。
能登半島復興支援募金を贈呈
今回の入場料の一部(チケット代金の1割として7万5900円)と、会場に設置した募金箱に寄せられた金額(16万712円)の合計23万6612円を12月20日、能登半島への災害義援金を受け付けている市社会福祉協議会に届けた。これらの現金は半分が日本赤十字社を通じて地震災害義援金。半分が赤い羽根共同募金を通じて大雨災害義援金として被災地に送られる。
届けたのは松岡壽夫代表他3人で、松岡さんは「ベートーヴェンは世界の人々が仲良くなる『全ての人は兄弟になる』メッセージを込めて作曲をした。1月・9月と度重なる災害に、我々も手助けは出来ないかと思い、少しでもお役に立てば」と話し、社協の杉本丈夫会長に手渡した。杉本会長は「地震、水害と両方の災厄に遭われ、不自由な生活を強いられている人々がいる。その人々の支援に使わせて頂きたい」と礼を述べた。
同会では2016年の熊本地震でもチャリティ募金を実施し、義援金として贈呈した。
事務局の山田泰次さんは「一海先生の熱心で丁寧な指導のお陰で、メンバーの心が1つになり例年以上の手応えを感じた。義援金も予想以上に集り、被災地に送ることが出来た。次回の伊賀地域出身者ばかりでの組み合わせには、新たな気持ちで取り組み、演奏会を成功させたい」と意欲を語った。