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名張の能楽盛り上がる 第55回名張観阿弥祭・名張能楽祭
南北朝から室町時代にかけて活躍した猿楽師で、「能」を大成した観阿弥が座を起こしたと言われている地・名張市小波田。その名張市観阿弥ふるさと公園(上小波田)で17日、「第55回観阿弥祭」と「名張能楽祭」が行われた。「観阿弥祭」は毎年行われ、地元あげて能の継承に取り組んでいるが、さらに盛り上げようとクラウドファンディングを行い、大蔵流狂言師の茂山宗彦氏始めプロを招待し「名張能楽祭」が併せて開催された。主催は名張市観阿弥顕彰会(山中功会長)。
始めに山中会長が「今日はプロの公演をゆっくり鑑賞していただきたい。観阿弥顕彰会は会員の会費で運営しており、ピーク時には300人だった会員数が、現在は約80人になって大変厳しい状況。年会費1000円なので皆さま、参加をして頂きたい」と切実に呼びかけた。
能楽祭は、狂言師の茂山宗彦さんと井口達也さんによる狂言「仏師」で始まった。持仏堂を建てた田舎者が、仏像を求めて都に行き仏師を探す。詐欺師が自分を仏師だと偽り、翌日には仏像ができているが……。掛け合いが面白く、会場は演技に惹き入れられた。
日頃から茂山宗彦さんに薫陶を受けている名張こども狂言の会の2人が、狂言「しびり」を熱演し、11人が小舞「泰山府君」を舞った。名張こども能楽囃子教室の2人も「高砂八段の舞」で笛を熱演した。この後は、名張幽風会、桔謡会、邦謡会の舞や連吟の人々が日頃の練習成果を披露した。
狂言「しびり」は、主人に和泉の堺へ使いに行くように命じられた太郎冠者が、行くのが嫌で、しびれがきれて歩けないと仮病を使うが……。太郎冠者と主人のやりとりが面白い。太郎冠者を演じた岩嵜友司(ゆうし)くん(美旗小1)は「緊張したけれど楽しかった。これからも続けたい」。また主人を演じた大山陽詩(ひなた)さん(桔梗が丘小3)は「セリフを覚えるのが大変で、殆ど毎日の練習はきつかった。でも本番は楽しかった。続けるかどうかは……頑張ってみる」と話してくれた。岩嵜君のお父さんと、大山さんのお母さんは子供の頃、名張こども狂言の会に入って狂言をしていたという。伝統はしっかり引き継がれているのだ。