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名張農業の新しい形「ideca」オープン
名張市井出の中山間地で周辺の休耕田を果樹園に転用してきた、三重伊賀里山整備活用組合(更井順哉代表・48)の「ideca(イデカ)」が7月1日オープンした。広大な農園を背景に、果実の加工と販売、カフェを組み合わせた施設で、杉材をふんだんに使い、草屋根や土壁など田園風景に溶け込んだ約400平方㍍の建物がおもてなしの主施設。施設作りについては、奈良市の「くるみの木」のオーナーで空間プロデューサーの石村由起子氏のアドバイスを得て代表らが計画を練った。スイーツはお菓子研究家の福田里香氏に提案をもらうなど、時代のニーズに合わせた専門家がたずさわっている。20種類のイチジク、ラズベリー、ブルーベリー、柿、スモモ、イチゴなどをジャム類に加工し、カフェではジェラートやスイーツを提供する。オープニングセレモニーが先月30日に行われ、壮大な景観の里山に観光農園が誕生。井出の果実で「イデカ」と名付けられた。
農水省より6次産業認定受ける
組合は2010年発足し、担い手不足が深刻化する地域の農業の中で、託された土地は約40㌶に及び、今現在も毎年2㌶増えているという。主に水稲を栽培しているが、果樹園の井出の2・5㌶を複合型の観光農園とする計画をたて、昨年3月農水省より6次産業の認定を受けた。これにより事業費約1億2000万円のうち4000万円を6次産業化交付金で賄った。
更井代表は、セレモニーで「はじめは水稲栽培を始めたが、水路の整備が困難で断念し、次に薬草栽培に取り組んだが種々の問題で再び断念。6年前から果樹栽培に切り替え土地改良を続けてきた。その間、田園風景を守るのがいかに大変なことかも学んできた。この観光農園が5年、10年、30年先にも人々の心の拠り所として愛され続けて欲しい」と挨拶し、取材には「里山を守るため収益を上げ、雇用も生み出すため景観を生かした観光農園の構想を始めた」と言う。
北川裕之名張市長は「名張市も稼げる農業、儲かる農業といいながら、難しいことも多い。その中で、大きな挑戦であり、名張の農業の発展のためにも行政として応援していきたい」と期待と激励の祝辞を述べた。