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市美展の一角で三重の楽器作家展

第67回名張市美術展覧会が開かれた、市総合福祉センターふれあいの一角で4~5日「三重の楽器作家展」が行われた。楽器を制作したのは県内4人と県外1人の計5人。楽器のもつ芸術性を市美展に合わせた初めての試みだった。
三重県度会郡大紀町の越仮裕規さんは、仕上げの美しいカホン(座って演奏する打楽器)と鼻笛(ノーズフルート)を出品。カホンの中にはスピナー(響き線)が設けられ、外からのレバーで調整できるのが独特の仕組みで、ドラムのような響きが得られる。ノーズフルートは精緻な彫刻が施され、KOSHIKARIカホンのブランドと共に工芸品の美しさを持つ。
松阪の和菓子店・柳屋奉善17代目の岡久司さん(72)は、2004年渡米した際にホピ族と過ごしたのをきっかけに、インディアンフルートの制作を始め、作った楽器で伊勢神宮等への神社奉納演奏活動を続けている。松、モミジ、ヒノキ、クロモジ、サカキ等の枝や竹を使う。フキ口と指孔の間にバードと呼ばれる鳥の形の音程調節ブロックがあるのが珍しい。「手作りなので、材料の形の癖や、竹の節などが、指孔ときっちり合って仕上がると非常に嬉しい」と話していた。
松本孝寿さん(59)は名張市職員。2000年からギター製作教室に通い、2009年に「独立」しアコースティックギターを作ってきた。今回は尾鷲産のヒノキを使った1800年代のクラシックギターを展示した。少し小ぶりな姿に優れた音楽性を感じる。「来年定年を迎える。その後再雇用等で仕事は続くが、そのうち、ギター作りの毎日が来るのを楽しみにしている」と言い「自分が作ったギターを弾いた人が嬉しそうな顔をしてくれると、最高に楽しい気分になる」と話していた。
いなべ市藤原町在住で、楽器工房HATTAworksとして制作している八田淳史さん(44)は、丁寧な仕上げのフラットマンドリンとウクレレを。また、埼玉県の松本美浩さん(61)は名張に合わせて、丸くてユーモラスなオオサンショウウオがボディデザインの、綺麗な仕上げのウクレレを出品した。
その他、名張の竹にちなんで、インドネシアの楽器アンクルン、尺八、ケーナ、サンポーニャなどが展示され、来場者が楽しそうに見回り、演奏を聴いていた。