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撮り続けた「松明調進」 珍しい「逹陀の妙法」の火炎も

百合ヒルズ(名張市百合が丘)の1階はなの里ホールで、秋永正人写真展「祈りと悔過(けか)伊賀一ノ井松明講とお水取り」展が2月16日まで開催されている。奈良東大寺二月堂で3月に行われている修二会(お水取り)に使われる松明を、名張市赤目町一ノ井から途切れること無く送り続けて(無形民俗文化財「松明調進行事」)今年で777年になるが、それを続けているのが地元の「伊賀一ノ井松明講」の人々。秋永正人さん(66・つつじが丘)は、伊賀一ノ井松明講を支援する団体「春を呼ぶ会」に入会し、写真班と自認・自称して写真を撮り続け18年間、およそ8000カットの写真の中から49枚をセレクトし今回の写真展になった。
毎年2月11日、赤目町一ノ井の極楽寺を基点に南側に約1㌔にある通称松明山から檜を切り出し、極楽寺に運んで松明の束に調整。3月10日には、松明の寄進を遺言したと言われる道観長者の塚に松明を運んで法要。12日には、松明を東大寺二月堂に運ぶ松明調進が行われる。以前は講員らが松明を担いで交代しながら列を組んで、笠間峠を越え奈良まで運んでいたが、コロナ禍にトラックで運ぶようになり、昨年と今年は近鉄電車の専用ツアー列車で近鉄奈良駅まで運ばれ、二月堂まで交代で担いで運ぶ。 この松明は翌年まで保管されるが、昨年の松明はこの夜から翌朝に掛けての「逹陀の行法」に用いられる。この一連の記録を秋永さんは18年間撮り続けた。写真は2月11日~3月12日の時間の流れに沿って展示されている。芸術的な写真と、行事の流れがよく分る記録的な写真が混じっていて、「松明調進行事」全体がよく分ると同時に民族文化としての側面もよく現れている。
圧倒的な十一面悔過
中でもお水取り最後のクライマックス「逹陀の行法」では、燃えさかる松明が二月堂の中で動き回る。十一面観音の前で煩悩を焼き尽くし懺悔するので「十一面悔過」と言われるが、ぐるぐる回る炎の力強い写真は圧倒的だ。炎が何かの「真言」を表しているような写真もある。12年程前に1度だけ写真撮影が許された時があり、二月堂の中で飛び散る火の粉の中、夢中で炎の写真を撮ったという。「悔過」は当写真展の表題でもある。
32年前にも、地元の風景や花のクローズアップを中心にした写真展をしたことがあるが、今回会場となった百合ヒルズは秋永さんの勤務先。はなの里ホールはよく出来たホールで、数々の作品展が開かれる。それを見て「自分も今やらないと……」と思って開催を決意した。
会場にはウイークデイでも途絶えること無く来場者がやってくる。1人1人に丁寧に応対する姿が印象的だった。お問い合わせ先は秋永さん(090・1981・0364)まで。