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故郷の地名に親しみを 研究会が「伊賀地名考」を寄贈
「伊賀の國地名研究会」の辻喜嗣会長と池田裕副会長は10月31日、名張市役所に西山嘉一教育長を訪れ、名張市内小中学校19校及び教育センターに1冊ずつ、図書館に3冊合計23冊の「伊賀地名考」を寄贈した。
「伊賀地名考」は、2007年に発足した「伊賀の國地名研究会」(会員21人)が伊賀・名張市に着目し、その土地の歴史や民俗、伝承を調べ、読売新聞伊賀版に週1回連載した「いが地名考」(全615回)から50話を抜粋し10月出版したもの。
西山教育長は「『あ、これ知ってる!』と子どもたちは身近に感じることと思う。各学校において楽しく使わせていただく」と礼を述べ、辻会長は「子どもたちが、なんでこんな地名になったのか?と興味を持ってもらう一助になれば」と語った。雑談の中で615回を50にまとめるのには「多くの人が聞いたことがあるものや、珍しいと興味を持ってもらえるものを選んだ。小学生でも高学年なら読めるだろうと考え、ルビの要不要も検討した」と苦労話を述べ、池田副会長は「フィールドワークで、なるほどと思うこともあれば、なんでこんな地名にしたのか考え込むのも楽しい」と話し、教育長は「土地土地に住んでいる人の思いがあるから、地元の思いを大切にし、夢や親しみを残すようにするのには大変であったろう」と苦労に思いをはせた。
「伊賀地名考」は名張市の小中学校に23冊、伊賀の小中学校に30冊、その他伊賀・名張の高校などを含めると約80冊が寄贈された。
「伊賀地名考」
伊賀の國地名研究会の会員21人中、今回の掲載は9人。テーマを「忍者」「松尾芭蕉」「伝承」「城下町」「自然」「街道」「遺跡」「特別寄稿」の8章とし、50の地名を紹介している。
「柘植」では、芭蕉の生誕地を、上野赤坂ではなく「柘植町山出」とするのが自然とし、芭蕉の有名な俳句「古池や蛙飛びこむ水の音」の池を紹介。「鼈渕(すっぽんふち)」では「釣りをしていた少年が鼈に食われた」伝説が、名張の積田神社の傍の名張川と青蓮寺川との合流付近と知り驚かされる等々、読みやすく興味の尽きない1冊である。辻会長は「その地域のガイドブックとして扱っていただければ」と親しみやすさに言及している。
名張市ではブックスアルデ、伊賀市では岡森書店、井筒屋書店、伊賀市観光協会、むらい萬香園で販売。発行・揺籃社、定価は1300円(税抜き)。