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海に見る穐月明のルーツ 青山讃頌舎で秋の通常展

伊賀市ミュージアム青山讃頌舎(あおやまうたのいえ)で秋の通常展「『浜辺の四季』穐月明が描く海」が開催されている。穐月明氏と言えば、「野の佛」に代表される山河を背景にした穏やかな画風を思い浮かべるが、今回の「浜辺の四季」展は~穐月明が描く海~。従来とは異なる作家像が展開されている。
穐月明氏は愛媛県西条市にある実報寺で、住職であり教育者でもあった父・穐月聖憲のもとで育った。展示は実報寺本堂、父の銅像、瀬戸内海の海、父親が亡くなった後住んだ家、穐月明氏が描く佛の原点になった実報寺本尊「地蔵菩薩坐像」の紹介で始まる。
展示は「故郷と海」「海辺の旅」「海と詩」の3つに分かれ、「故郷と海」として、故郷に関わる絵7点から始まる。姉と喧嘩して表に立たされている「想い出・喧嘩両成敗」、「浜辺(仔犬と子供)」のモデルは幼い頃の、当館学芸員で子息の穐月大介さんらしい。「海辺を行く母子」には、穐月作品には見られない不安の表現がある。「追想夜汽車」の望郷の念。そして「願いを持つ石」に込められた願いとは、師を持たず、どこにも属さず、賞を目指さず、弟子を取らず、自分の美意識に従う生き様の成就であろう。
「海辺の旅」11点では、海の風景作品が集められている。「月光波濤」で、波がこちらに迫ってくるように感じるのは、遠くの波が遠近法より大きめに描写されているためだと、学芸員穐月大介さんの説明で分かった。
「海と詩」11点の中で「不動三尊」だけが、波の描き方が全く異なる。あえて古典的様式で描き空海の伝説を表したとか。  展示ケースでない背景展示6点のうち「月照漁港」の月に光るむら雲の描写は、何事かを暗示するようだ。当作品に限らず今回の展示作品ではむら雲に平安でない様子と力が表されている。今回、穐月コレクションの内から盆石20点が演出用として展示。それが展示に物語を加えている。
穐月大介学芸員は「今回は、穐月明の故郷を紹介しようと考えた。ルーツを見て頂き、厳しい時もあった。学生時代に結婚し子供が生まれ、妻子を養いながら絵を描いて生きていかねばならない。どこにも属さない1人の芸術家としての矜持を感じて頂ければ」と話していた。
会期は12月20日迄で、火曜日は休館。入場料は一般300円(高校生以下無料)。会期中には、呈茶会「紅葉の茶室でお茶をいただく」が11月17・23・24日に開催。呈茶代400円で要予約。また、近郊ハイキング「水辺の景色をたどる」が、日時12月1日13時からで、申し込み受付は21日まで。呈茶会とハイキングの申し込み・問い合わせ先は、青山ホール(0595・52・1109)まで。
会期中開催のギャラリートーク「穐月明の故郷と海」が、12月8日と15日の13時30分から申し込み不要で、穐月大介学芸員が解説。お問い合わせ先は、伊賀市文化都市協会(0595・22・0511)または、伊賀市ミュージアム青山讃頌舎(0595・52・2100)まで。