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特命救助チームが救助訓練 青峰高校校舎を利用
三重県名張市消防本部は2日、県立名張青峰高校(百合が丘)で、校舎、中庭、東側法面を使って、救助訓練を行った。参加したのは選抜された特命救助チーム15人。高校敷地北東の高さ約6㍍の崖状の法面から、50代の男性作業員が道路に落下して倒れており、救助に行くには、約200㍍南西に離れた建物の屋上を乗り越えていくしか方法がないと想定し、複雑な地形のもと判断、コミュニケーションを取りながら救助するというもの。
隊員たちは、玄関棟と図書館棟を結ぶ高さ約10㍍の渡り廊下の屋上に、ハシゴで上り、ロープを使って中庭に降りた。そこから負傷者の倒れている法面の上部に急ぎ、先ずストレッチャーと一人の隊員が降下し、負傷者に話しかける。「大丈夫ですか?どこが痛みますか?」隊員が報告する「腰部打撲痛、擦過傷あり」その間、法面の上では、隊員たちがアリゾナボーテックスというアメリカ製のレスキュー用大型三脚を組み立て、滑車を取り付け、ロープを通す。負傷者の周りでは3人の隊員が負傷者の頸部を固定し、ストレッチャーに乗せ頭部も固定、胴や胸部大腿部もロープで固定した。作業の手順を1つ1つ負傷者に話しかけていた。いよいよ負傷者を上げることになり、1人が「○○が一緒に上がります」と言って負傷者を安心させ、水平に注意しながらストレッチャーと隊員が上がって行った。2人の隊員は横や上部で、常にロープを操るなどサポートしていた。来た道を戻り、高さ10㍍の建物の上部を越え無事下に下すことができた。隊員が建物にハシゴを伸ばしてスタートしてから、約1時間で負傷者を搬送したことになる。
名張消防署消防救助指令の宮阪昇さんは「本部の中でも特に任命したチームで、困難な事案について複雑な救助を担当している。普段は消防塔で訓練しているが、このような実地現場に近い想定でやると、いざと言う時、落ち着いて現場に臨むことが出来る。今日は初見の現場で、上手く対応していたと思う」と手ごたえを感じていた。
この訓練を、名張青峰高校野球部の生徒らが終始見学していた。顧問の北森啓史教諭は「この訓練チームに野球部出身者がいる。また野球部の3年生で、消防の入所試験に合格した生徒もいる。親しみもあって見学しているが、ひとり一人の日頃の技量の向上と、それをチームワークに活かす面では見習うことが多かった。生徒にも参考になったと思う」と話していた。