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第75回人権週間 ふれ愛コンサート
人権週間記念行事「ふれ愛コンサート」が12月10日、adsホールで行われた。記念行事は2部に分かれ、第1部は9月1日~10月6日まで募集していた人権作品の表彰。第2部は義足のダンサー大前光市さんの、ダンス&トークショー。主催は名張市、名張市教育委員会、名張市人権センター。
第1部は、小・中学生から募集した人権に関する作文、標語、図画・ポスターの表彰と、高校生・一般から募集した人権メッセージの表彰。
【人権に関する作文】は、小学生2197人、中学生798人、計2995人の応募があり、この日入選作として表彰されたのは、小学生8人、中学生2人の計10人。【人権に関する標語】は、小学生998人、中学生1609人、計2607人の応募があり、入選は小学生8人、中学生5人の計13人。【人権に関する図画・ポスター】は小学生2918人、中学生1059人、計3977人の応募があり、入選は小学生15人、中学生5人の計20人。【人権メッセージ「あなたの大切な人へ」】は、高校生821人、一般10人、計831人の応募があり、高校生2人、一般3人の計5人が入選した。
入選者はステージの上に揃って控え、代表者が北川裕之名張市長から賞状を受け取った。2023年度人権メッセージ「あなたの大切な人へ」の表彰が終わると、最優秀作品「おかあちゃんへ」を作者の田中ひろ子さんが朗読。「幼かったけど覚えています」から始まり、母親との貧しかったけれど暖かかった日々を思い出し「ありがとう。そのお陰で今の私があります。もう一度会いたい。」司会者が「どんな思いで書かれましたか」と聞くと「おかあさんが元気な時に『ありがとう』と言ってあげたかった。いつも後悔しているので、母に言いたかったことをそのまま書きました」と話した。
終わりに4人の小中学生による人権作文の朗読があった。廣利優芽さん(すずらん台小1)が「やさしいきもちで」、藤原琥珀さん(箕曲小3)が「人の気もちを知る」、山田紗果さん(桔梗が丘南小5)が「仲間と一緒に」、エスキヴェル明生さん(北中1)が「言葉の重みを胸に」、それぞれ日常生活の中で人との関りについて、よく考えた作文を朗読した。
第1部の始めに北川市長が「人権に関する多くの作品を拝見した。人権学習の大切さを改めて感じた。人権メッセージの作品を読んで涙が出るほど感動した。ハンデがあっても無くても今の時代の生き辛さを感じる。自分は生きていていいのだろうか、自分は何もできないのではないかと考えるのではなく、人と人との繋がりの中で、自分にもできることがあると、生きる肯定感に繋げて。大前光市さんのショーを見て生きる力にして欲しい」と挨拶した。
大前光市 ダンス&トークショー
第2部が始まり宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を、素晴らしい声で朗読しながらのダンス。「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」で力強く終わる。ユーモアを交えながら義足の開発の話。「一番になるにはオンリーワンになること」など蘊蓄(うんちく)のある言葉が随所に出てくる。次のステージは「サンゴの呼吸」と題したダンス。波の音に、南の海の楽器のようなシンセの音が被る音楽。「独特の身体表現を見て欲しい」赤いサンゴをツールに様々な動きがある。トークに入り、高校の時に演劇部に入部し劇団四季のCMを見てミュージカルにあこがれた。当時、高山にいてダンスのレッスンに通いその後、新聞配達をしながら大阪芸大の舞台芸術学科舞踊コースにて学んだ。ミュージカルより華やかな舞踊コースを選び卒業後はプロになるべく、新潟のカンパニーのオーディションを受け、1次2次に合格。いよいよ最後のオーディションという2日前、交通事故で左足膝下を切断、24歳だった。人生1回目の挫折。それでもあきらめきれず、同じオーディションを4年間受け続けたが駄目で2回目の挫折を味わうが、その時父親の励ましで立ち直った。そこで「SWAN」と題する曲を踊った。バッハのバイオリンソナタ「シャコンヌ」をアレンジした。緊迫した厳しい曲で、踊りも激しく、息が切れるのが分かる。断末魔の白鳥かと想像した。
トークでは、その後さまざまな身体表現を習得し、2016年のリオパラリンピックの閉会式にソロで出演したのをきっかけに注目されるようになった事や、日本舞踊(英御流)の名取となり、その要素を取り入れた森山直太朗「時の行方~序春の空~」では、それまでとかなり異なる踊りを披露した。もがき続けた結果「夢は続けて行けば形を変えて叶う」と経験に根ざした言葉が語られた。曲「5つの魔法」で大きな拍手を浴びたあとアンコールに「ノンフィクション」を踊って終わった。
来場者の1人は「ハンデを感じさせないどころか、完全に個性になってしまっている。大前さんでないと踊れないダンスに心から感動した」と、目を輝かせていた。