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自分だけの書「己書」講習 名張市教育C・週末教育授業
名張市教育センター(百合が丘)6月15日の週末教育授業は「自分だけの書『己書(おのれしょ)』をつくろう」。文字を書く時は形や書き順が気になるものだが、それに捉われず、自分が感じたままを書く「己書」という書き方にチャレンジしたのは、市内小学校の3~6年生18人と保護者16人、小さい弟や妹など含め約40人。いつもの教育授業と違って大人も歓迎ということで、自分もやってみたい保護者が多く熱心に筆や絵の具を使っていた。
講師は、森本真智さん(38)。実際の手順をスクリーンで写しながら、分かりやすく解説。参加者が多いので、己書道場師範の荒木薫さんと石井希佳さんが、参加者の間を回って助言していたが、己書の自由な気分が更に理解を進めた様子。荒木さんは、シリウスというバンドのボーカルで、石井さんは、己書師範の高校生は日本に2人の内の1人だという。5人のキッズサポーターが、かいがいしく道具や用紙の配布など参加者の手助けをしていた。そして教育センター指導者の吉住昌三さんと、学校教育支援員の3人の先生が子供たちに語りかけながら作業の進みを助けていた。
「人の話を最後まで聞く。自分で考え素晴らしい己書をつくろう」と、この日の目標を吉住さんが話し講習が始まった。森本さんが、「心のまま楽しく書く」「自分だけの文字やことば」「書き順を変える。逆書きや二度書きOK」「文字に大小をつけ、パズルのようにはめ込むと味が出る」「楽しく書く!!」と基本の話をし、みんなで「ぐるぐる」と言う大小の円形を筆ペンでたくさん書いた。逆書きの例として「道」という字の「しんにゅう」の縦の部分を筆順通りに書き、しっぽの部分を後ろから書くと、己書らしい「道」が出来て、おーっと驚きの声が出た。次にみんなで「ありがとう」を書いた。これには、「ぐるぐる」や「パズルのようにはめ込む」や「逆書き」など己書の要素が詰まっている。これが出席者にとって最初の己書となった。
この後は、2匹のカニの絵を描き「一期一会」の文字を書き加える作品と、花火を描き「暑中お見舞い申し上げます」の文字を書く作品に挑戦。スパッタリングと言って絵の具の色を細かく跳ね飛ばす技法など、初めての人は面白そうにチャレンジ。自由に楽しくの気持ちが理解できたのか、カニの絵は三角や四角、ハート形等さまざまな表情の絵が描けていたし、花火は色が様々で個性がよく表れていた。みんなが無意識のうちに「自分なり」を表現しようと、子どもたちも保護者の皆さんも、会場全体が楽しそうに湧いていた。
キッズサポーターとしてきびきび働いていた、さきちゃん(桔梗南小6)は「やりたかった!家に帰ったら自分でやってみようと思う」と少し羨ましそうに。森本さんは「とらわれることなく、文字のアートに親しむ人が、こんな形で増えて行けば嬉しい」と手応えを感じていた。
1人で来て、センスの良い作品を熱心に描いていた中崎サクラさん(美旗小5・10)は「普段は、絵も書道も余り好きじゃない。でもこれなら描けそうなので、これから頑張ってみようと思う」と満足そうに話した。
廣岡直幸君(薦原小5)はお母さんと一緒に作品作りをした。「普段はあまり書道はしたいと思わないが、これは続けたいと思う。楽しかった」と話し、お母さんは「楽しいことを覚えました。来てよかったです」と2人で作品を見せてくれた。