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蔵持小学校で人権教室
名張市立蔵持小学校で2月1日、名張・伊賀市の人権擁護委員で構成された伊賀人権擁護委員協議会16人による人権教室が開催された。参加児童は1年生31人、2年生35人の併せて66人。
児童らは予め人権についてそれぞれが思うメッセージを、花びらや葉っぱの形の色紙に書いて準備していた。それを「人けんの花かご」と描かれたボード2枚にみんなで貼り、メッセージで花いっぱいの人権の花かごが出来た。メッセージは「一人じゃないよ」「大じょうぶだよ」「ずっといっしょだよ」等々、友達に語りかけるように書かれていた。
協議会の福山康宣会長(68)が「元気で、明るく楽しく生活する権利はみんなにある。メッセージを書いてきてくれてありがとう。その気持ちを大切にしてください」と挨拶。続いて人権擁護委員の冨森盛史さん(74)解説の、パワーポイントによる短い物語の読み聞かせが行われた。
物語の主人公は、はるかちゃんという3年生の女の子。ある日学級園の草刈りをしていて花を1本折ってしまった。彼女は花がかわいそうなので、教科書に挟んで押し花にして持っていた。ところがクラスの子に見つかり、みんなは「花とった、花とった」とはやし立てた。はるかちゃんは何か言おうとしたが言い返せなかった。それを黙って見ていたけんちゃんは、はるかちゃんが毎朝早く学級園の草刈りをしているのを知っていた。お父さんにそのことを話すと、お父さんは「なぜ皆に言わなかったの?」と尋ねた。次の日、けんちゃんは「いつも草刈りありがとう。あの時黙っていてごめん」とあやまった。はるかちゃんは嬉しくなって、押し花をけんちゃんにあげました、という物語。
この後、6~7人のグループ10組に分かれて輪になり、各グループに人権擁護委員が1人ずつ付き添い質問をし、意見を引き出した。「花を折ってしまったとき、はるかちゃんの気もちはどんなだったでしょう?」「みんなにはやし立てられたとき、はるかちゃんは何を言いたかったでしょう?」「けんちゃんは黙って見ていたけど、どうしてでしょう? あなたならどうしますか?」「けんちゃんは皆にどういえばよかったでしょう?」等々、もしはるかちゃんだったら?けんちゃんだったら?お父さんだったら?……その立場になって考える、その時どう言えばよいのか?など、正解がない答えを子供たちが話すのを、人権委員の人々は、決して自分の意見を言わずに、会話の流れを作っていた。ディスカッションが終わって列に戻り、冨森さんが「何かあったら話をする。誰かに聞いてもらうのが大事なことです。友達に、先生に、お家の人に」と話し、「日頃のわたしたちの生活で大事なことは、相手の話をしっかり聞く、相手の立場になって考える、自分の事として考えることです」と締めくくった。
最後に、やなせたかしの詩「いのちはたいせつ なによりもたいせつ」が朗読された。体育館のステージに、じんけんけんちゃんのゆるキャラが現れ、児童らは歓声を上げて喜んだ。
富森さんは「話を聞くだけでなく、聞いた話を元に1人ひとりが考え、意見を出し合ってどうすれば良いかを考える。人権についての良い学習につながれば」と語った。2年生の女子児童が「楽しかった。色々な人の気持ちになれそうな気がしたから」と笑顔で応えてくれた。
児童らはこの後教室に戻り、振り返り学習で大切なポイントを改めて確認した。