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鬼を射る! 八幡区行事「弓引き祭神事」
名張市八幡の八幡正八幡宮で15日、約400年前に始まったとされる伝統の「弓引き祭」の神事があり、悪鬼退散、人々の健康と幸せ、五穀豊穣を願った。
拝殿で神事祈祷のあと神社の森の中に設置された「鬼」と書いた的(縦横約50㌢×60㌢)に向かって矢を射るのは、村神主の福地敏昭さん他、副宮司、地区総代、地区執行部の人々等10人。距離は約20㍍。順番に矢を射るが、普段練習をしているわけでもなく、なかなか当たらない。例年は30~40順続いても難しいが、今年は16順目の人が見事「鬼」の額を射抜き、大きな拍手を受けた。この後は参拝の人々や子供たちが交互に的を狙った。
言い伝えでは、400年ほど昔の正月17日、八幡村の若者が京都へ遊びに行き、愛宕神社に参った。そこでは侍が弓を射る演習をしていたが、なかなか当たらない。うっかり「当たらへんやないか」と言ったのが侍に聞こえてしまった。怒った侍は弓矢を若者に突きつけ「お前が弓を引いてみよ。もし当たれば命は助けてやる」弓など引いたことはなかったが、覚悟した若者が「守護八幡氏神様」と一身に唱えて射ると見事に命中した。感心した侍はその弓と矢を若者に贈った。村に帰ってからこの弓と矢は八幡神社に供えられ、毎年1月17日には弓引き神事が行われるようになった、と言う。
この日命中させた田畑和明さん(69)は「皆が幸せになりますように、良い1年でありますようにと願いながら矢を放った。今年4年目になるがやっと当たった。弓矢の持ち方など段取りが分かってきた。孫3人にも良いところを見せられた」と嬉しそうに話していた。田畑さんの今年の役は氏子総代、昨年は神主をした。地区約40戸の人々により、神主やその他の役を交代しながら、八幡正八幡宮は400年間守られてきた。