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1013人の「成人」旅立つ

名張・伊賀市の県立高等学校で3月1日、卒業証書授与式が行われ夫々が3年間学んだ校舎を後にした。今年の両市内の県立高校全日制を卒業した生徒は、昨年度より88人少ない986人、定時制は昨年度より7人多い27人となっている。全日制では3年前の入学式直後から、全国一斉休校となり3年間マスク生活を送った。卒業式では「生徒と教職員はマスクを着用しない」と説明があったが、ほとんどの生徒は着けなれたマスクを外さなかった。

名張高校
名張高校(堀昌弘校長)では、全日制課程153人の名前が担任から一人ひとり読み上げられ、堀校長から東乙玖(いつき)さんが代表して卒業証書を受け取った。堀校長は「皆さんの旅立ちに当たり、2つのことを話します。1つ目は『信頼される社会人になる』です。基本は3つ、全てのコミュニケーションがそこから始まる『挨拶をする』。『時間を守る』。自分も他人も大切にする『自他の命を守る』です。これからは言葉や国が違う人と生活することが当たり前の社会になってきます。お互いの違いを認め積極的に繋がって欲しいです。2つ目は『社会人として自立する』です。人生においてどちらの道を選ぶか大いに迷うことがあると思います。大きな選択の時には、時間をかけて考える。周囲のひとの意見を聞く。最後には自分で決断することです。自分で決断して実行することが社会人として自立するということです」とはなむけのことばを贈った。
来賓の北川裕之名張市長は「ウクライナでのロシアの侵攻でもわかるように、戦争は始まると止まらない。如何に悲惨か心にとどめてください」と語りかけた。答辞は柔道部元主将の山村洸斗(ひろと)さん。入学した時はコロナ禍の戒厳令で、いつ授業が始まるかわからない不安な状況であった事から話を始め、3年間の学生生活の様々な場面を思い出しながら、「コロナ禍の中、こうしてこの日を迎えられるのも先生方のおかげです。私達は先生方と巡り合えて幸せ者です。初めは不安ばかりだったのに、今こうして笑っていられるのも支え合った友達がいたからです。本当に楽しかった。ありがとう!」と、声を詰まらせながら謝辞を述べた。
この日の卒業生は入学以来、ほとんど校歌を歌ったことが無い。間際になって練習し、スクリーンに映った映像に合わせて、式の最後に全員で歌った。
マスク着用は自由のはずだが、マスクを外している生徒は見当たらなかった。卒業証書を受け取った東さんは「入学式の時からずっとマスクをしているので、急に外すのは恥ずかしい気がした。音楽系列の人以外は校歌を歌う機会はなかったので、改めて校歌を歌ってみて、歌詞が若者らしくて新鮮な思いがした」と話していた。
同校では4年振りに来賓や保護者の人数制限を外したが、保護者の数はほぼ生徒の数と同数くらいで、自粛の空気が残っているようだった。

伊賀白鳳高校
一方、伊賀市の伊賀白鳳高校(徳田嘉美校長)は、伊賀市文化会館で第12回卒業証書授与式を行った。
担任から250人、一人ひとり名前を読み上げられた後、卒業生代表が徳田校長から卒業証書を受け取り、通い慣れた学び舎を巣立って行った。徳田校長は、「コロナ禍での制限された生活だったが、多くの教育活動を通して技術を磨き、地域との連携に励んだ。ICTの発達したこれからの時代は、多くの知識を記憶することより、必要な情報を判断することが重要である。判断を実行していくためには、自信が必要。自信をもって輝かしい人生を歩んでほしい」とはなむけの言葉を贈った。
続いて在校生を代表し2年生の宮本ほのかさんが、卒業生への感謝を述べると、元生徒会長の谷川あゆなさんが「先行きが見えない不安な中での高校生活のスタートではあったが、オンライン授業を始め、先生方の指導のお陰で楽しい高校生活を送ることができた」と、3年間の楽しかった思い出とともに恩師や同級生、家族らに対して感謝の言葉を語った。式の中で、3年間無遅刻・無欠席の生徒52人に皆勤賞が授与され、会場から大きな拍手が起こった。
この他両市では、名張青峰高校255人、上野高校264人、あけぼの学園高校64人が全日制の課程を、名張高校7人、上野高校20人が定時制課程を修了し、新しい人生を歩み出した。なお伊賀市では、今年全日制を卒業した人は、5月4日に初めての「18歳成人式」を行うことになっている。