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平和を考え 語りつぐ「戦争はいや!平和のつどい」

2022平和のつどい実行委員会主催、名張市、名張市教育委員会後援の「戦争はいや!平和のつどい」が8月21日、名張市産業振興センターアスピア(南町)で開催された。テーマは「語りつごう平和を、くりかえしてはいけない悲惨な戦争!」2013年から続けている催しで、10回目の今年は時間を延長し、戦争体験者の話なども加えた。
午前10時から開催された展示のモチーフは「戦争の歴史をたどる―侵略の実相 ウクライナの今、沖縄のいま―」本土復帰50年の沖縄の歴史と現状。平和への思いの作品。ロシアによるウクライナ侵攻の写真。日本の戦争の歴史、東アジアで旧日本軍が関わった事件の写真。寄せ書き入りの日章旗の遺品。戦時中の物品、遺品、写真など。会場で大きな面積を占めるのは原爆関係展示で、中でも広島市立基町高等学校の生徒たちが、被爆者から直接聞いて作成した原爆の絵は、見る者の胸を打ち、資料としての価値も大きい。原爆投下当日に亡くなった9万人をイメージして直径5㍉のシールを張り合わせて作った大きな鳩の絵も目をひいていた。
行事に先立ち、北川裕之名張市長のコメントが発表され「平和を語るうえで、2つの大きな課題がある。1つは、戦後77年、当時の恐ろしさや悲しみや辛さを自ら語る体験者が非常に少なくなってきた。次世代にどう繋ぐかが大きな課題。地道に愚直に一人一人が、伝える思いを持って取り組んで行こう。2つ目は、ロシアによるウクライナ侵攻によって、軍拡正当論、軍拡必要論が大手を振って歩き始めた。戦争はいったん始めると止められないことは、ウクライナを見てもよくわかる。誰もが、そうならないように努力するのが大きな役目。今日の催しが一人一人の行動につながることを期待する」北川市長は午前中、一人静かに丹念に展示物を手に取ったりしながら見て回っていた。
「話しと交流」では5人の話を聞いた。1人目は杉本禮子さん(桜ケ丘・89)。「大阪の布施で生まれ、神戸の六甲道で小学校6年迄住み、その後伊賀神戸に移った。小2の時戦争が始まった。朝礼の時、男子児童は少しでもふらつくと、往復ビンタを受けていた。B29が飛んできて、爆弾や焼夷弾を落としていく、ウォーンウォーンザーバラバラという音が耳から離れない。食べるものが無くてひもじい思い、だんだん人の心が荒んでいくのを感じていた。」
2人目は伊藤傅一さん(安部田・92)「大阪市大正区の小学校で徹底した軍国主義教育を受けた。授業がなくて軍事教練ばかり。ある時、行先も告げられず列車で連れて行かれ、鍛えられたが、海軍予備兵の訓練だった。海岸を走り、手旗信号やモールス信号の訓練を受けた。訓練が戦争遂行のためのものと感じたのは中3の初め頃。お腹が空いて堪らない頃、大東亜戦争突破パンの配給があった。米ぬかと稲わらを混ぜたもので食べられたものじゃない。海軍少年義勇兵の登録。甲種合格した。待機中に新型爆弾が落ちた話を聞いた。そして終戦となった。」
3~5人目は柴吟子さん(市内梅が丘・47)、みちるさん(大学1)、ちとせさん(高校2)の親子で「広島・原水爆禁止世界大会に参加して」のビデオを映しながら、話始めは、ちとせさん「広島では被爆者の話やウクライナの話を聞いた。核抑止による平和は大きな間違い。そんな当たり前のことも分からないのかと思うと不安になる。核廃絶の願いを絶やしてはいけないと強く思った」。次にみちるさん「原爆は、人として死ぬことも、人間らしく生きることも許さない。この一言で原爆の恐ろしさが浮かんできた。生き残っても後遺症に苦しみ、差別に苦しんできた。核抑止論や核必要論の声が大きくなってきて流されそうになるが、戦争の恐ろしさを考え、これ以上犠牲者を生み出さないことが大切と思った」。最後に母親の吟子さん「3つのテーマを考えた。1つ目『平和教育』を考えた時、被爆朝鮮人が被爆者手帳を貰えない。関東大震災の時の朝鮮人大虐殺など、学校で教えられないことが沢山ある。平和教育を考え直すべきだ。2つ目『苦しみと危機が今ここにある』と思う。1人の独裁者が核のボタンの判断をする。サイバーテロが核攻撃をする可能性がある。原発は核と同じ脅威になる。そのような時に核で平和を守る考え方がどんなに非現実的かを確信した。3つ目『ささやかな一歩』ささやかな一歩を踏み出す人を、1人でも2人でも誘っていくことが、平和のうねりをもっともっと大きくすることになる」と親子で感想や決意を語った。
熱心に展示を見ていた西田敦さん(桜井市・59)は「奈良県は第2次世界大戦では空襲も被害も何もなかった、とよく言われるので調べている。天理には軍需工場があったので機銃掃射を受けた。十津川村では食い減らしで、満州に強制移住させられた記録があるなど、いわゆる『銃後の姿』を調べている。今日の展示では。高校生による原爆の絵が凄い。話を聞いて、それを絵にするパワーに感心した。彼らも後を継ぐ語り部になると思う」と話し「奈良に風」と言うfacebookを立ち上げているので見て欲しいとのことであった。
松本美代子さん(美旗・75)は「高校生の原爆の絵を一つ一つキャプションを見ながら見ていたら涙が出てきた。彼らも絶対核兵器反対になると思うし、語り部をついでくれると思う」と熱く語っていた。
実行委員会事務局の羽口和彦さん(緑が丘・69)は「戦争や平和について家族や仲間で話し合うきっかけになればと思っているが、今日は熱心な人々が沢山来場してくれた」と充実した面持ちで話していた。なお当日の一般の参加者は約100人ほどであった。