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歩いて学ぶ旧町の魅力・名張市新採用職員らが「大人の遠足」

令和5年度名張市新規採用職員を対象とした職員研修の一環として、5月15日に「大人の遠足」が実施された。名張市新総合計画に「語れるまちなばり」の基本理念があり、まず職員が名張市の魅力を深く知り、愛着と誇りをもって語れるようになることを目的としている事から、旧町を実際に歩き触れることで歴史や文化を学ぼうとするもの。この企画は「若手職員による政策立案、業務改善等実行プログラム(UROKO PROJECT)」が企画立案し、そのメンバーと人事研修室が共同で実施したもの。
今年度新規採用者は24人で、2日に分かれて12人ずつ参加した。はじめに庁議室でレクチャーを受けた後、名張藤堂家邸跡から2つのルートに分かれて遠足がスタートした。記者が同行したルートは、サンロード入り口前に差し掛かったところから。アーケード撤去工事の真っ最中で、思わず参加者からどよめきとも嘆息ともとれる声が漏れた。4月16日に「RE:START‼リスタート!上本町」の催しで賑わったことを思い出した。次に登録有形文化財「岡村家住宅」へ。表で説明を聞いていると、岡村加寿代さんが出てきて中に案内してくれた。中には安本亀八作の生き人形と言われる岡村甚六像が照明に工夫を凝らされて展示されてあり、肌の質感も全体の色も美しいもので大切に保存されている様子が伺えた。また鎌田梁洲の観瀑図誌の版木35枚もあり、刷り本も見せて頂いたが、全員感銘を受けたようだった。次は羊羹で有名な登録有形文化財「大和屋」で、1852年創業の和菓子店である。代々当主の奥さんが羊羹を製造販売して続いてきた。次は登録有形文化財「木屋正酒造」。1818年創業で軒に大きな杉玉が飾られている。続いて登録有形文化財「旧喜多藤」。かつては大規模な旅館であり、初代名張市長・北田藤太郎氏の住居であった。街道市など市を挙げての大きな催しには、開放して中を見せてくれる。次に登録有形文化財「山中家住宅」。当初は酒屋から旅館となり、近年は歯科医院だったという。そこから「ひやわい」に入った。前回(10日)は、ここに蛇がいて通ることをあきらめ全員迂回したらしいが、今回蛇はいなかったので無事「ひやわい」を通り、次の目標地点の「江戸川乱歩生誕地碑広場」前に立った。この碑が出来たのは1955年、除幕式には乱歩夫妻も臨席したという。
コースは登録有形文化財「やなせ宿」となり、もうひとつのグループと一旦合流した。そこで係員から丁寧な説明があった。別グループと再び分かれて「新町温泉」の前へ。名張市内で唯一営業している銭湯で、1873年創業。家風呂のない1970年頃までは毎日100人以上の入浴客があったという。その隣にあるのが、登録有形文化財「川地写真館」。鋭角に高く伸びている外観が印象的。道路を挟んで登録有形文化財「中井家住宅」は、1932年建築の洋風建築で、入院施設を併設した内科・外科・耳鼻咽喉科の医院だった。しばらく旧町のまちなみを歩いて「テレワーク施設のFLAT BASE」にやって来た。地区100年を超える空家を改修したもので、ここでオーナーの北森仁美さんと、改修工事をした社団法人「つなぐ」代表の 野山直人さんが紹介された。「市民と名張市が同じ目線で街づくりや課題解決目指して情報共有するのが大事」との話しから始まり、「市民は困ったときに行政が何とかしてくれると思っているし、行政は市民が不満でないようにするにはどうすればと考えるが、これは市民と行政の目線がずれている。市民は生活に目が行っているし、行政は人口を減らさない方向に目が行っている。ずれた目線を情報共有や話し合いで同じ目線にすることが大事」と、市民と行政の話し合いの場が突然始まった。表に出ても話は尽きない。有意義な時間だと感じた。「大人の遠足」はこのあと、1778年建立の宇流冨志禰神社の一の鳥居で、コース終了となった。桑名出身で保健師の佐伯南々子さん(25)は「古い町を守りながら、新しいことを始めようとしている。ひやわいを通り抜けると山が見える。文化財の建物の後ろにも緑の山が見える。まちの形が、桑名の自分にはとても新鮮だった」と印象を話してくれた。