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進む明治校舎の耐震改修工事

三重県指定有形文化財に指定されている県立上野高等学校旧管理棟(明治校舎)の耐震改修工事の現場が5月21日、公開された。
明治33(1900)年の7月に完成した木造平屋建(約970平方㍍)で、東西に羽根を広げたような洋風の外観が印象的で、歴史的景観の中心的な建築。県教育委員会は約4億円の予算をかけ、工期は2021年11月~今年12月の予定。耐震改修工事と同時に劣化損傷部を保存修理し文化財にふさわしい保存活用を図るとしている。具体的には、昔の建築は土壁なので耐震補強材を設け、束石の床下はベタ基礎に代え、屋根は瓦の下が土葺きで重いので現代の工法にする等が耐震改修の主な工事。
この日は事前に申し込んだ約50人が3回に分けて見学した。現場倉庫には、外された建築部材(腰板、荒板、大引、床束、根太、建具、金物、瓦等々)が細かく番号を振って整理され、元の場所に戻されるのを待っている。工事関係者の説明を聞いた後、校舎に入る。瓦が外され、下地の土や野地板も外されたスケルトンの屋根構造に圧倒される。
滅多に目にすることのない現場を見て、上野高校出身の見学者も多いようで、三重県文化財保護課の伊藤裕偉有形文化財班長は「皆さん歴史を感じて感慨深いようです」、西村美幸主幹は「丁寧な部材の保管や作業を見て、多くの方が感激しておられます。見学していただいて良かったです」と話していた。
明治校舎の設計者は県の営繕技術者の清水義八ら。明治期の同県における洋風建築の普及に大きな役割を果たした人物で、明治村にある名張市立蔵持小学校校舎も同じ清水氏とのこと。