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道観塚に松明供え調進成就を祈願

極楽寺で「調進法要」
東大寺(奈良市)二月堂のお水取り(修二会)に使われる松明を作り(松明調整)、東大寺に納める一連の行事を松明調進行事と言うが、途絶えることなく今年で775回を迎えた。2月11日に調整した松明をいよいよ東大寺に運ぶにあたり、寄進し続けることを遺言した道観長者の碑(道観塚)に報告し、無事奈良に届けられることを祈願する「調進法要」が3月10日、極楽寺(名張市赤目町一ノ井)で行われた。
春を迎えた好天のもと、東大寺大仏殿の筒井英賢副院主らを迎え、伊賀一ノ井松明講(森本芳文講長・72)の人々を中心にして、春を呼ぶ会、笠間の郷を思う会、名張青年会議所の会員など約50人が参加した。
午後1時、極楽寺本堂にて中川拓真住職(54)の法要の後、約500㍍離れた道観塚に松明を運んだ。山伏姿の金峰山寺優婆塞の亀本清芳さん(75)がホラ貝を鳴り響かせながら、練りの先頭を歩き、塚に到着して法要が始まった。森本講長は「貴殿(長者)が松明を調進するよう遺言されてから775年、今日までその言い伝えを守り続け、今年も樹齢75年以上の立派なヒノキから松明をつくりました。昨年は錦生赤目小学校の児童が植林し、地元の伝統文化を知る機会を持ってもらいました。今後ともこの一ノ井と名張市が、安泰に栄えますようお守りください」と祭文を読み上げた。再び極楽寺に戻ると、ホラ貝の音と法要の交換する大護摩法要が営まれた。人々の願いが書かれた多くの護摩木が炊かれた。記者も昨年に続き「世界平和」と書いた。今年こそは思いが届いて欲しい。
松明調進特別列車
調進法要の終わりに森本講長が招待席に座っている二人を紹介した。近畿日本鉄道の運輸部の担当者で、森本講長によると「松明を東大寺に運ぶのに、松明調進特別列車を運行して多くの市民に参加してもらう機会が作れたらと思う。それで、まず見学に来てもらった」とのこと。近鉄の猪狩一典営業課長は「申し訳ないが、この行事を知らなかった。775年続く大事な伝統行事ということで、とても興味が湧きました」と話していた。
本来なら松明は、12日に東大寺に向けて出発する予定であるが、昨年に続き今年もコロナ禍のため、4月13日にトラックで運ぶことになっている。森本校長は「この行事は必ず続けて行きます。調進する者として、誇りを持続し、歴史を継続します」と話した。