「令和の学校」ってどんな学校 No58 奈良市立月ヶ瀬中学校
今回は、今年の2月に月ヶ瀬梅林が国の名勝指定を受けてから100年、「梅まつり」の直前に訪問をさせていただいた、月ヶ瀬小学校と同じ校舎にある月ヶ瀬中学校を訪ねた。
学制改革により、昭和22(1947)年4月に月瀬村立月瀬中学校設置。平成6(1994)年から平成12(2000)年までの間、修学旅行で中国に行き話題となった。平成17(2005)年、奈良市との合併により奈良市立月ヶ瀬中学校と改称。平成29(2017)年4月、中学校校舎を改修。小学生と中学生が同じ校舎で学ぶ「施設一体型小中一貫校」としてスタート、今年で6年目を迎えた。
前回訪れた春とはまた景色が違い、周囲の山々の紅葉が楽しめる月ヶ瀬。自然豊かな土地で、地域の方の愛情あふれる支援は小学校から行われている。今回は特に中学校の特長や課題、取り組みなどを中心に、小中兼任校長の今年3年目を迎える岡本英昭校長に伺った。
お久しぶりです。今回は中学校についてですが。
中学校生活(本校では7年・8年・9年)で生徒が楽しみにしているのが部活動。本校では、現在バレーボールと卓球部の2つがある。バレー部は試合出場人数が足りず、今年は奈良市内の他の中学校と合同チームを組んで試合等に参加し、5月に開かれた奈良市民スポーツ大会において、準優勝。卓球部も同じく準優勝という素晴らしい成績を収めてくれた。ほんとうによく頑張った。生徒は日頃から熱心に練習に取り組んでおり、顧問もよく指導してくれている。ただ、教員の働き方改革や顧問の先生の転勤等の問題、小規模校の共通の悩みである生徒数の少なさ、文化やスポーツなど生徒の趣味や興味、愛好性の多様化など難しい問題がある。今、国が進めようとしている部活動を学校外や地域でといったことについて、これからの動向を注視している。本校の実態を考えると今後は、地域の方に指導に入っていただいたり、奈良市が進めている部活動指導員等を今まで以上に活用したりしていくことも必要と考えている。いずれにせよ持続可能な部活動の在り方について、今後も検討していく必要はある。また、中学校は教科担任制であることから、教科の免許をもった教員が教科指導を担当することになるが、教員配置という点では、教員数が足りていないという学校があると聞いている。本校では奈良市教委の配慮等により、非常勤教員等が配置されており、大変ありがたい。
GIGAスクール構想は。
旧月ヶ瀬学校給食センターを活用した月ヶ瀬ワ―ケーション施設「ONOONO」が3月にオープンした。この施設はタブレット端末などを活用したり、地域の方との交流をしたりすることができる。本校生も早速出向いて端末を使って色々な課題について学習した。奈良市では他所よりも早くタブレットなどが導入され、小学校1年生から積極的に活用している。他校とのオンライン交流をしている学年もある。今後もタブレットの効果的な活用を模索していきたい。
生徒の活動は。
平成7(1995)年、英語の授業で飢えに苦しむ外国の子どもたちを取り上げた題材を学習した際、生徒たちが「今の自分たちにできることは何か」を考え、「アルミ缶回収活動」が始まった。翌年、生徒会スローガン「アルミ缶で車いす! 世界中の人々の幸せと地域の福祉のために、自分たちのできることからはじめよう」を掲げ、生徒全員で地域全戸からアルミ缶を集め、その収益金で福祉施設に車いすを寄贈することになった。生徒が熱心に取り組む姿から、地域ではアルミ缶回収を支援するボランティア組織もできた。アルミ缶回収活動は、地域ぐるみの取り組みとなり、以来今日まで27年間も続いている。アルミ缶は毎月第1月曜に職員や地域の協力を得て回収、翌日生徒たちがアルミ缶をつぶす作業を行う。金曜日に再生工場に運び、重さを測って収益金をいただく。得たお金で、車いすをはじめ風呂に入る時に使用するチェアーなどの福祉機器を購入し、地域の社会福祉協議会や福祉施設などに寄贈する……
続きは令和4年10月22日号の伊和新聞に掲載しています。
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