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「令和の学校」ってどんな学校 No60 公立小中学校を訪ねて(上)

令和3(2021)年2月から、名張市・伊賀市と両市に隣接する奈良県東部の奈良市月ヶ瀬、山辺郡山添村、宇陀市室生、宇陀郡曽爾村、御杖村の4市3村の小中学校、計59校を訪れ、各学校の校長先生から、学校や児童生徒の様子、先生方の姿、地域の支援、今後の学校経営に向けての考えや抱負等を聞かせていただいた。どの校長も大変お忙しい中、時間を取って下さり、丁寧な説明や写真などの資料提供をしていただいたりもした。理解をいただいた、それぞれの教育委員会教育長にも改めて感謝する。  教育は時代と共に変化をし、社会の動きを反映する。また反面どんなに時代が、社会が変わろうと、変わらないもの、変えてはいけないものがあるのも教育である。取材を始めた時は、前代未聞の「全国一斉臨時休業」から1年が経ち、コロナ禍での学校教育について混乱が一旦落ち着きを取り戻してきた時期であった。ただ、以前にはできていたことができなかったり、計画を変更して授業や行事を行ってきたりしたことなど、校長をはじめ先生方には子どもに対して「申し訳ない」思いを抱いている感じを強く持った。こうした中、「令和の学校ってどんな学校」なのか、読者の皆さんと考えていきたい。
学習指導要領完全実施
時代が「平成」から「令和」になり、何が変わったかと聞かれるとうまく応えられないが、後で振り返ると変わって来ていると思う。これは「昭和」から「平成」になった時も同じように感じ、その時は何が変わったかよく分からなかったが、今思うと大きく変化したことは確かである。
教育の世界においては、平成29(2017)年3月に告示された学習指導要領が、令和2(2020)年から小学校、令和3(2021)年から中学校で完全実施されることになったのが、「平成」から「令和」に代わるこの時であった。この指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」をキャッチフレーズに、従来の教師主導の講義形式の授業から児童生徒が能動的に考え学習する授業、いわゆる「アクティブラーニング」を重視する授業への転換を図ることを掲げている。また、今回初めて、「情報活用能力」を学習の基盤となる資質・能力と位置付け,教科等横断的にその育成を図ることとし、ICT環境を整えてそれを活用することが謳われた。学校では、グループでの話し合いや協働作業などを重視する授業法についての研修が多く行われていたが、コロナ禍により「三密」を避けるといった点からの「アクティブラーニング」の実践は、現場では苦慮した。国(文部科学省)は、こうした現状を踏まえつつ、令和2年4月16日に「一斉休業」中の家庭学習について調査を実施した。それによると、教科書や紙の教材活用が100㌫、教育委員会作成動画活用10㌫、それ以外のデジタル教材等活用20㌫、これに対し、同時双方向型オンライン指導5㌫と、極めて少ないことが分かった、また、教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数は、平成19(2007)年時点の7・3人に1台から平成31(2019)年は5・4台に1人と整備が進んできているが、地域差もあり1人1台には程遠い状況であった……

続きは令和4年11月4日号の伊和新聞に掲載しています。
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