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いが再発見 No215 伊賀市高尾 「逆柳の甌穴まつり」

平安時代に伊賀を治めたとされ、今でも地元で人気のある豪族、藤原千方を供養する「逆柳の甌穴(さかやなぎのおうけつ)まつり」が7月24日、伊賀市高尾で5年ぶりに開かれた。「甌穴」とは川底の岩盤にできる円筒形の穴。甌穴は2つあるが、大きい方は深さ4㍍もある。祭りを主催する「千方伝承会」の会長、西村隆三さん(73)によれば「人間が1人、すっぽりと入れる。こんな大きな甌穴はここだけ。日本一といってもいいのでは」と自慢する。ふだんは川の中にあるため見ることはできないが、この日ばかりは土砂をさらい、穴全体が久々に姿を現すのだ。このチャンス。甌穴の中をぜひ見てみたかった。
この日、スタート地点になる高尾床並集議所前に集まったのは100人ばかり。伊賀市を中心に各地から参加。夏休みに入ったばかりで親子連れも多い。「逆柳の甌穴」まで歩いて20分と聞いてさっそく歩き始める。
藤原千方は平安貴族で、並外れた能力を持った4鬼を従え、重税を課す朝廷軍と戦い、討ち取った敵の首を甌穴に投げ込んだという伝説の人物。千方将軍とも呼ばれ、権力者に容易に服従しなかったところが、長らく人気のある原因かもしれない。鬼たちは忍者の発祥ともかかわりがあるとされ、日本遺産「忍びの里 伊賀・甲賀」の構成要素の一部にもなっている。その伊賀に残る千方伝説や史跡を整備、保存するのが「千方伝承会」である。西村会長によると、今年は5年ぶりの開催、12回目になるという。「この2年間は新型コロナ禍。その前は台風、大雨で中止になりました」
1本道を歩いていくと途中であと800㍍の標識。右に折れ、床並川をさかのぼる。目的地まで20分とあったのですぐ到着するかと思ったが、なかなかつかない。けっきょく私の足で40分かかる。  川沿いの道を歩きながら、ここはかつて見た風景であることを思い出す。それは4年前のこと。この年開かれた「藤原千方伝説の跡地を巡るツアー」に参加したからだ。季節は11月。そのとき、川の水面を指してガイドさんが「これが甌穴」と説明してくれる。それでも判別できない。上からじっと眺めると、確かに甌穴のある部分は周りと違い青黒い色をしている。それでようやくこれが甌穴か、と納得できたのだった……

続きは令和4年7月30日号の伊和新聞に掲載しています。
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