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いが再発見 No218 生誕百年記念「岸宏子万華鏡」

伊賀市を生涯の拠点に作家、脚本家として活躍した岸宏子さん(1922~2014)の生誕100年を記念するイベント「岸宏子万華鏡」が8月21日、伊賀市上野丸之内のハイトピア伊賀で開かれた。伊賀市が主催し、94歳で亡くなった岸さんから遺贈された資金をもとに設立された伊賀文学振興会が協力した。募集した「私のイチオシ岸作品」が発表され、優秀賞に選ばれた3人が岡本栄市長から表彰された後、登壇し岸作品の魅力を語った。また、記念事業の一環として、彼女の出世作「ある開花」500部が復刻されたが、同会の福田和幸代表(74)は「この催しが岸さんの作品理解のきっかけになればいい」と話した。
岸さんは旧上野町(現伊賀市)生まれ。父は作家、横光利一の従兄弟(いとこ)にあたる。20歳のとき、小説「醜女(しこめ)」が日本厚生協会主催の勤労文化賞1席に入賞。
戦後、小説家、放送作家として活躍。ラジオ、テレビの放送作品数は350作を超える。その岸さんの出世作は「ある開花」(1965年)。伊賀の伝統産業の組みひもを巡り、巻き起こる騒動を描いた小説。この作品を原作に映画化や舞台で上演され、人気を呼ぶ。特に舞台劇は初演から550回を超えるロングラン公演作となっている。
この日行われたイベントで、岡本市長は生前の岸さんの人柄に触れてあいさつした。「伊賀の男はみんなあかんたれや。立派なのは芭蕉さんだけやというのが口ぐせ。岸さんの口は悪いが根本は優しいおばさんでした。地元で長く小説家として頑張ってくれた人でもあり、その思いや作品を今後も受け継いでいきたい」
この後、募集していた岸さんの作品から1冊を選んで推薦文を書く「私のイチオシ岸作品」の応募作17点から優秀作に決まった田端泰子さん(伊賀市)、宮田隆さん(東京都)、濱千春さん(津市)の3人が岡本市長から表彰された。
続いて3人がトークショーで岸作品の魅力を披露した……

続きは令和4年8月27日号の伊和新聞に掲載しています。
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