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タカキタ社員 創意工夫功労者賞受賞

株式会社タカキタ(藤澤龍也代表取締役社長)の製造本部生産技術課・山中郁哉さん(38)が「令和6年度文部科学大臣表彰・創意工夫功労者賞」を受賞し5月17日、名張市役所を訪れ北川裕之名張市長に報告した。梨原弘勝経営企画室長が同席した。
この賞は実際に現場で創意工夫を行い、科学技術振興の基盤作りに貢献した人を対象とし、昭和35年に始まった表彰制度。山中さんは農業機械の製造工程で、円筒形部材の溶接精度を大幅に向上させ、製造コストの削減と生産ラインの効率化を実現した。
山中さんが取り組んだのは、直径約90㌢×高さ約1~1・2㍍の円筒形に成形された牧草(ロールべール)にラップフィルムを巻き付ける際、ロールべールを載せてゆっくりと回転させる台(テーブルローラー)の両端で回転するローラーの芯を精度よくする工夫であった。ローラーとして使用するパイプの両端にふた(フランジ)を溶接し、その中心に回転軸を溶接するが、元々のパイプは量産品のパイプで直径に個体差があり、パイプの偏心や軸振れが発生し、毎回補正・修正するのに苦労していた。偏心や軸振れが生じるとロールペールにラップフィルムを均一に巻きつけられなくなり、軸の破損にもつながる。
山中さんが考えたのは、正確に軸の芯を導き出せる治具の考案。これにより、年100個の生産数に対し、6個程度の不良品が発生していたが、導入後の不良発生は0となった。不良品修正時間は、1個につき1時間とすると6時間かかっていたが、それも0となった。現代の工場にとって年6時間の節約は非常に大きいと、梨原経営企画室長は言う。山中さんは「これについては3年ほど前から考えていたが、思いついて図面を書きだして8時間ぐらいでまとめ、16時間で形になった」という。
タカキタは名張を代表する企業の1つ。1912年創業で「名張の農業の発展につくした高北新治郎」としその功績は、ふるさと学習「なばり学・下」に掲載され、小学5年生は全員学んでいる地域にとって馴染みの深い企業だ。

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