乱歩小説の一節を看板に 中央RCが寄贈
名張中央ロータリークラブ(市川裕規会長、以下中央RC)は5月22日、同市で生まれた推理作家・江戸川乱歩の生誕130年を記念して、乱歩の小説世界を表現した看板5枚を作成し市に寄贈した。
看板の標示面の大きさはタテ44㌢×横30㌢、全体の高さが150㌢のしっかりした台座の上に支柱で支えられたもの。表示面は原稿用紙になっていて、そこに「白昼夢」「屋根裏の散歩者」「芋虫」「孤島の鬼」「人間椅子」の5つの小説から一節を抜き出し、手書き風の書体で文章が書かれている。原稿用紙はセピア色に風化し、それに“ユルス”とだけ書かれている看板がある。その一節は、原稿用紙のマス目から乱雑にはみ出しているが「芋虫」を読んだ人ならその理由が分かるだろう。デザイン制作は伊賀流忍者看板のアート工房が担当した。
中央RCから企画の相談を受けた「古書からすうり」(中町)の中田茂美さん、俊昭さんは、旧町の街並みの持ち味に合い乱歩ファンが喜んでくれるもので、乱歩の世界を連想させるものをと考え、同店で行われている女性ばかりの読書会「幻影嬢」の参加者に相談。皆で旧町を歩き作品名と抜粋箇所を決めた。従って、設置個所もその時決めたが個人宅でもあり、すんなりとは進まないが、とりあえず提案はしている状態という。支柱式の移動できるタイプになったのはそのような背景がある。
夫妻の話しでは、最近は広島、長崎、横浜など遠方から、生誕地を目指してやって来る乱歩ファンが増えている。必ずと言っていい程女性の一人旅らしい。乱歩巡礼の人にとっては、今回の企画は大いに喜んでもらえるものになりそう。今後の可能性について、中央RC等から取り上げる小説の間口をを広げるなど相談があれば喜んで協力したい、と2人は話していた。
写真は寄贈された看板を紹介する中田さん(中町ひやわいにて)