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伊賀再発見 No182 ススキの名所 曽爾高原を歩く

高原のススキの穂先が風に揺れ、全山が紅葉する待望の秋が間近になった。奈良と三重の県境にあり、日本有数のススキの群生地として知られる曽爾(そに)高原は年間40万人が訪れる観光名所。曽爾村の関係者によれば今年のススキは成長がよく、例年以上に見事なススキが見られそうだという。近くにある「お亀の湯」は美人の湯として名高く、三重県からも訪れる人が多い。シーズンを前にひと足早く、なだらかな高原で、緑の葉を残すススキを見た後、人気の湯にも入ってきた。ススキは11月になると一面金色に染まると教えられ、どんな風景か、それを確かめにもういちど行きたくなる。いい景色に違いないからだ。
近鉄名張駅から県道81号線を車で南下。紅葉シーズンには大勢の観光客でにぎわう香落渓を過ぎると間もなくススキで名高い曽爾高原に到着する。その間約40分。意外に近くにあるのだ。さっそく現場で待ち合わせた曽爾村役場企画課の中西侑哉(ゆうや)さん(21)に案内してもらう。駐車場前の道を右手に50㍍ほど上っていくと目の前になだらかな山が見える。その斜面一帯に草原が広がっている。すべてススキの原。見事としか言いようのない景色である。しかし、よく写真で見かける金色に輝くススキの風景ではない。ではその時期はいつごろか。見ごろは3段階に分かれると中西さんはいう。「①はちょうど今ごろ。穂だけが薄紫色。まだ葉や茎は緑色ですが、この風景を楽しむ人もけっこういます。②は10月中旬。穂が白くなって全体が銀色に染まります。③は11月に入ってから。茎も枯れたススキが夕日に照らされて金色に輝きます。それは本当に美しいです」
高さ2㍍に成長したススキ。周りがよく見えないので少し高いところに上がってながめる。それにしても広い。どれくらいの面積があるのだろうか。「だいたい40㌶あります」と中西さん。甲子園球場が1・3㌶だから、ほぼ30倍になる。広いはずだ。
高台から見下ろしてみる。いちばん下のくぼんだところにヒョウタンの形をしたお亀池があり、周囲に遊歩道がある。この日は平日で、それほどハイカーは多くなかった。それでも散策する人は結構いる。中西さんによれば1周するのに30分ほどかかるという。ハイカーたちは、ゆっくりと歩きながら周りの風景を楽しんでいる。そんな雰囲気が遠くにいる私にも伝わってくる。目の前に見えるお亀池は確かに風情があるが、三方を山に囲まれて水は汚れていないのか。そんな疑問がわいてきて、中西さんに尋ねた。「この水は周囲の山からの伏流水だからきれいです。この周辺を源流とした湧水は、名水百選にも選ばれているし、地ビールの原料水にも使われています」
いわれてみて、近くに「曽爾高原湧水を販売しています」との看板も掛かっていたのを思い出す。あの水はやっぱり山から湧く水だったのだ。 それにしても、この曽爾高原の風景はずっと昔からあったものだろうか。「今年は立派なススキに成長していますが、ずっと以前からこんなにきれいなススキであったわけではありません」と中西さん。2018年、ちょうど3年前に台風で大きな被害を受けた。そのとき、村とボランティア組織である「曽爾高原を守る会」が高原の再生プロジェクトを立ち上げる……

続きは10月2日号の伊和新聞に掲載しています。
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