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伊賀再発見 No186 古民家で「やまと薬膳」体験

改装した築140年の古民家で和風にアレンジしたピザを食べ、無農薬の茶葉に秋の野草をブレンドした野草茶づくりにも挑戦。10月から始まった通称「いがぶら」と呼ばれる、伊賀ぶらり体験博覧会2021の企画の1つ「やまと薬膳=窯(かま)焼きベジピッツァとかまど炒(い)り野草茶」の薬膳体験に参加した。ベルギーなどに滞在30年、東洋的食養法を加味したヨーロッパ薬膳を欧州各地に広めてきた料理研究家の作ったひと味違うピザは、健康食に関心のある女性たちに人気。かまどで炒ったお茶は自分も家でやってみたいと好評だった。
伊賀市依那具の「伊賀めぐみ草庵」は道路から少し入ったところにある。家を見て驚いた。1階の屋根には一面に草が生えているのだ。簡素な庵をイメージしてきたら大違い。文字通り「草のいおり」なのである。なんだか、面白そうな家。同草庵の代表、杉下峻吾さん(37)に聞くと、「もともとここは父が気に入って20年前に購入したものです」という。その父親が建築会社「恵工房」の代表、杉下徳蔵さん(74)。以前は名張で事業展開していた人。「この古民家は築140年以上。家の大きな梁(はり)が特に気に入りました。古民家の再生は古いものに新しいものを入れることが大切。暗い、寒いから明るく快適に。これがいちばん重要ですかね」
屋根に草を生やしたのも杉下さんのアイデア。最近は古民家の再生ばかりやっているという杉下さん。「大和郡山の築270年の家の修繕が次の予定。かやぶきの屋根で知られる築150年の室生深野の『ささゆり庵』のリノベーションや曽爾村の宿泊付きフレンチレストラン『きらら』も私の仕事でした」
ささゆり庵は日本の里100選にも選ばれた棚田が美しい別荘宿で、宿泊客は1日1組限定で知られる。では、めぐみ草庵はどうなのか。峻吾代表によると土日だけ1組、宿泊を受け付けているという。そんな話を杉下親子から聞くと、やっぱり中に入ってみたくなる。
玄関を入ると土間があり、かまどがドーンと正面に。入口すぐの座敷には囲炉裏。もちろん自在鉤(かぎ)も掛かっている。天井を見上げると黒光りする立派な梁。これが杉下社長のお気に入りなのだ。
このかまどを使ってこれから野草茶を作るのである。指導してくれるのは中ノ瀬友袴(ともこ)さん。長谷寺門前で店を開いているという。まず直径30㌢はある大釡(おおがま)にカキ、ビワ、マコモの葉、それにクロモジを入れる。葉っぱだけでなく、それぞれ軸、幹も混ざっている。採り立てでなく、少し乾燥させた方がいい、と中ノ瀬さんがアドバイス。4種類、だいたい500㌘程度を入れシャモジを使い弱火で炒る。「この野草茶は約1時間じっくり炒るといい香りが立ってきます」と一ノ瀬さん。参加者が交代で釜の中をゆっくりとかき混ぜていく……

続きは10月30日号の伊和新聞に掲載しています。
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