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伊賀再発見 No188 「シャックリ川」をガイドと散策

小春日和の一日、1級河川でありながら全長たった3㌔の「シャックリ川」という何とも面白い名前の川の源流を求めて往復6㌔の道を歩いた。名張市のおきつも・ボランティアガイドの会が企画。かつては名張一汚れているといわれた川の浄化具合を観察、旧初瀬街道の一部が現在、民家の庭になっているのに驚く。うっそうとした森の中のくぼ地に水たまりのあるのを発見、「これが源流です」といわれて興奮し、急斜面の上にある東山公園展望台では西南に広がる名張市街を遠望する。コロナ禍の中で久しぶりに自然散歩ができて、日ごろたまったストレスを発散した。よかった。
近鉄・桔梗が丘駅前をスタート、大阪線沿いを西へ歩く。ガイド役の西岡廉純(やすずみ)さん(70)が線路上に見える黄色い保線工事用の車両を指さしながら説明してくれる。「あのあたりに旧伊賀線の線路がまだ残っています」
今春、旧伊賀線(桔梗が丘~名張間)を歩く企画があったがコロナ禍で中止になってしまった。新型コロナ感染拡大が収束したらぜひ復活してほしいものだ。
歩くこと5分で小さな川に架かる橋に到着する。「これがゑすりげ橋。下を流れるのがシャックリ川です」と西岡さん。川幅は4~5㍍。どこにでもある小さな川である。下をのぞき込むと魚が泳いでいる。数えるとコイが10匹ばかり。ほとんどがマゴイだが1匹だけ緋ゴイもいる。けっこうきれいな川なのだ。しかし、西岡さんによるとかつてはそうでなかったらしい。「1960年代後半から住宅地の造成や工業団地が出す排水で川が汚れ、まるでどぶ川でした」
名張でいちばん汚い川と呼ばれたこともあったらしい。もっとも当時は全国の河川が同じ状態だった。大阪の道頓堀川がそのころ生活排水で汚染され、夏には悪臭を放っていたのを思い出す。
それにしてもこんな小さな川が1級河川と聞いて驚いた。ふつう1級河川といえばせめて名張川くらいの川幅があってもいいのではと思ってしまうのだ。「1級河川は国が管理するからそう呼ぶらしいです」と西岡さん。いわれてみれば名張川でも、「淀川水系名張川とか木津川上流の名張川」とか呼んでいる。大本が1級ならどんな末端でも1級と呼ぶものらしい。これは知らなかった。シャックリ川は3㌔だが、名張川に流れ込み、淀川から大阪湾にそそいでいる。理屈は分かるが、でもやっぱり3㌔で1級河川といわれると笑ってしまう。しかし、小さな川でも末は大きな川に出世できるのだ、と考えれば、これは愉快である。
ではなぜ「シャックリ川」なのか。1911年(明治44)の名賀郡蔵持村名誌に、名前があるというから昔からそう呼ばれていたのだ。名前の語源に少なくとも3説があるという……

続きは11月13日号の伊和新聞に掲載しています。
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