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俳句のまち伊賀 第76回芭蕉祭

俳聖松尾芭蕉(1644~94)の命日にあたる10月12日、伊賀市の上野公園俳聖殿前(上野丸之内)で、第76回芭蕉祭が開かれた。市と芭蕉翁顕彰会(岡島久司会長)が主催し、約150人が参加して俳聖に捧げる献詠俳句が読み上げられるなど、郷土の偉人の遺徳を偲んだ。
式典では始めに、俳聖殿に安置された伊賀焼の芭蕉像に、市内の茶道を学ぶ4人の女性から華やかに花と菓子と茶が献じられ、岡本栄市長が「我々は芭蕉翁の残した俳諧文化はもちろんのこと、郷土を愛し、郷土の人々とともに歩んだ芭蕉翁の姿勢も含め、次世代に伝えることを誓い、芭蕉翁敬慕のことばといたします」と祭詞を読み上げた。表彰式に入り、優れた俳文学関連著書に送られる文部科学大臣賞が、「正岡子規伝 わが心世にしのこらば」を著した復本一郎氏(神奈川大学名誉教授)に贈られ、賞状などが授与された。献詠俳句の表彰に移り、各部門の特選句の作者の代表や、芭蕉祭ポスター原画コンテストで最優秀に選ばれた児童らが芭蕉像の前で表彰された。式典の最後には岡本市長が「芭蕉の意志を未来につないで行きたい」と挨拶し「久方の 友を目で追う 翁の忌」と結んだ。
式典に先立ち、芭蕉の遺髪が治められている愛染院の故郷塚(上野農人町)で法要が営まれ、上野市駅前の芭蕉翁銅像などで花や菓子を捧げた。
芭蕉翁献詠俳句は、一般、テーマ(晴)、児童生徒、英語、連句、絵手紙、ポスターの各部で募集したが、昨年より2、928点少ない35、785点の応募だった。一般・テーマの部においては、10、534句の応募があったが、選者である塩田薮柑子さんが募集期間中の6月に死去されたため、塩田さんを選者と希望し応募した句が無効となったことが影響し、昨年より1、801句少なくなったと顕彰会では見ている。
幼保園児から高校生までの児童生徒の部においては、伊賀市内全小中学校を含む92校(園・所)から21、631点の投句があった。また、全校生から応募があったり、成績が良かったりなど、取り組みが熱心である学校に贈られる「三重県知事賞」は、「伊賀市立西柘植小学校」と「福岡県古賀市立古賀東中学校」が受賞した。顕彰会によると、今年の句の傾向としては、昨年多かったコロナ禍を詠んだものより、日常生活での様子を詠んだものが多く寄せられ、心にゆとりが戻りつつある傾向ではと話している。
芭蕉祭式典において、一般の部特選受賞者を代表して岐阜県大垣市の大西誠一さんは「10年間投句して、3・4回入選した。今回の特選は夢のまた夢。俳句の聖地伊賀にまた来れるよう頑張りたい」と喜びを語った。また、ポスターの部で最優秀となった東日夏さん(上野東小4年)は、「天の川が流れてキラキラとしているところと、夏の大三角形を頑張って描いた。芭蕉さんのように見たことが無い天の川が見れるよう、旅をしたい」と笑顔で話した。
また、芭蕉翁記念館(上野丸之内)では、芭蕉翁特別展「芭蕉を慕う人々」芭蕉筆「月見の献立」を12月25日まで開催している。入場料大学生以上300円、小中高生100円。

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