名張市 一般会計307億9300万円 痛み伴う過去最大予算案

名張市は2月20日、2025年度当初予算案を発表した。一般会計は前年比4・5㌫増の307億9300万円で、金額としては過去最大の規模となった。膨らんだのは人件費、エネルギー高騰、扶助費の増加など経常的・義務的経費によるもの。
一方、市の財政危機を受け財政再生団体への転落を避けるため、多くの歳入確保と歳出削減案を盛り込んだ。27日開会の定例市議会に提案した。
市民の痛みを伴う改革
市は、「財政危機を克服」「災害危機に備える」「人口減少危機に備える」の3つの「危機」に対応する、「市民の命と安心を守り抜く予算」とした。部局からの予算要求時点では約16億7千万円の収支不足が生じたが、行財政改革プランの財政健全化への取り組みで5億2千万円、事務事業17件の削減等で12億円を圧縮し、収支不足を約4億7千万円までに圧縮した。北川市長は「行財政改革プランに掲げた目標を着実に実行する試金石であったが、令和8年度も厳しさは変らないので努力は継続しなければならない。市民の皆さんの痛みを伴う改革であるので、丁寧に説明していきたい」と話す。この4億7千万円の不足は、市の貯金である財政調整基金を取り崩して充てる。同基金の残高は約14億5千万円になる。また市債発行を過去10年間で最も少ない前年度比33・9㌫減の約8億3千万円に抑えた。
財政健全化への取組み
歳入確保への取り組みとして、国の補助金の活用・確保があり、地域活性化起業人や地域おこし協力隊の活用で4655万円、集落支援員制度の活用で4086万円、小学校などの大規模改良事業など国の補正予算など財源の利用で1億636万円、市の旧保育所用地の売却1600万円、更新する小中学校のタブレットの旧機器売却3025万円(更新経費に充当)、ふるさと応援寄付金の増収分1・5億円のうち返礼品や諸経費控除後の金額7500万円、市道、公園、武道交流館、図書館のネーミングライツ417万円等々で、3億5千万円確保した。
歳出削減への取り組みとして、8月から窓口時間の変更など職員の時間外勤務の抑制で4600万円削減、民間保育所の延長保育事業・1歳児保育推進事業など措置費の見直し4104万円、福祉バス運行の取りやめ1830万円、事業承継促進支援事業の廃止で436万円、子育て世帯定住促進空き家リノベーション支援補助金の廃止240万円、修学援助費・特別修学援助費の見直しで961万円、ゆめづくり地域交付金の見直しで900万円。中には、子ども「初めてのスポーツ」応援事業廃止5万円と言う少額の物もあり、総額1億6390万円を削減した。
主な新規・拡充事業
▼子ども・若者第三の居場所創世事業(5499万円)=総合福祉センターふれあい3階に子どもや若者が気軽に安心して過ごすことが出来る居場所(ユースプレイス)を整備する。▼自治体情報システム標準化等対応事業(3億5254万円)=自治体情報システム標準化対象20業務のシステム移行、ガバメントクラウドの搭載、データセンターとのネットワーク環境構築整備経費。▼都市構造再編集中支援事業費(1億920万円)=「名張かわまちづくり計画」にある地域振興拠点エリアの用地(6500平方㍍)購入費。▼大阪・関西万博に関わるプロモーション事業(319万円)。▼医療体制推進費(1462万円)=24時間医療従事者が電話対応する「救急、健康相談ダイヤル24事業」の負担金(785万円)と県や伊賀市と連携して、伊賀地域の拠点となる産科医療機関の機能強化を図る支援事業負担金(273万円)など。▼防災対策費(3883万円)=南海トラフ地震等への備えとして避難生活環境整備を見据えた資機材等(プライバシーテント、簡易ベッド等の購入費)。▼文化財保護費(635万円)=10月開催の「日本オオサンショウウオの会名張大会」実行委員会補助金(240万円)を含む。
24年度補正予算案5億5千万円
名張市は20日、5億5079万円を増額する2024年度補正予算案も発表した。錦生赤目小学校の屋内運動場の大規模改修費の増額、中学校3校のエレベーター整備費の増額、扶助費の増額などを含む。補正後の一般会計は334億7321万円となる。