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名張市 桔梗が丘中で平和学習講演会

広島への修学旅行に向けての事前学習として、命の大切さや平和の尊さについて考える平和学習講演会が13日、桔梗が丘中学校(根本健校長)で行われた。三重県歴史教育者協議会の元小学校教諭・岩脇彰さん(62)が講師を務めた。同校の修学旅行は当初は東京の予定であった。しかしコロナ禍で行先を変更し、毎年平和教育をしていることもあり、広島を行先に選んだ。
開口一番「君たちに主権者になって欲しい」と語り、「戦争をさせない主権者になって欲しい。もし戦争になったらやめさせる主権者になって欲しい。そのために78年前の戦争を知って欲しい。78年も経つと語れる人が少なくなっている。戦争の恐ろしさを知っている人が少なくなると、次の戦争が起こる。従って語り継ぐ必要がある。「語り部」から「語り継ぎ部」に。私も「語りつぎ部」だが、皆さんも「語りつぎ部」になって」と呼び掛けて、講演が始まった。
「広島ってどんな町?」スクリーンの文字を見ながら「原子爆弾が落とされた町。1945年8月6日午前8時15分。覚えてください」と言って、生徒らが訪れる平和公園、原爆ドーム、爆心地(現在・島内科医院)などを分かりやすく地図や写真で紹介した。また「戦争の中心だった町」として日清戦争当時は大本営があり、陸軍被服支廠(※)があった事などにも触れた。原爆ドームや被服支廠が壊されずに残ったのは「失われると、この地で起こったことが分からなくなってしまう」と思った人々が呼びかけて残ったとも話した。
続いて、広島、長崎への原爆投下当時、名張にも戦争があったことを説明。6月5日、神戸の空襲の帰途にB29が青蓮寺上空で撃墜され、搭乗員9人が逮捕連行後処刑されたこと。小型機の空襲で同月9日、蔵持小学校空襲。7月24日、赤目口駅100人以上が死傷。8月6日、広島原爆投下。同月8日、美旗駅30人以上死傷。同月9日、長崎原爆投下など、広島・長崎と絡めて、名張も戦争の渦中にあった事を意識させた。また「日本がされたこと」の他「日本がしたこと」についても考えることが大切と、語気を強めて話した。
また「平和記念公園には原爆慰霊碑以外にも、平和についての碑がいくつもあり、それらについても夏休み中に調べてみて」と呼び掛けた。被爆者の体験や、原爆投下当時の有様などの話を終えた岩崎さんは、講演後「分かりやすく、興味を持つように、次に繋がるように心がけた。戦争は、広島・長崎も、名張も同列だ」と話した。
その後の授業で、生徒たちは2本のDVDを見たという。1つは「夏服の少女たち」、もう1つは「広島に電車が走った」。中学生たちはどんな思いで見ただろうか。先生たちの真摯な教材選びが分かる。夏休みの宿題は、個別で調べたことをグループでまとめ、発表するとのこと。平和公園では、折り鶴の奉納にするか、合唱するか検討中とのことだ。
※被服廠(ひふくしょう)=大日本帝国陸軍の組織のひとつ。軍服を製造した。

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