1. HOME
  2. 伊和新聞
  3. 国の登録有形文化財に答申・鍵屋の辻の「数馬茶屋」

国の登録有形文化財に答申・鍵屋の辻の「数馬茶屋」

国の文化審議会は7月19日、伊賀市小田町の鍵屋の辻南の史跡公園に建つ「数馬茶屋」を、国登録有形文化財(建造物)に新たに申請した。現在、数馬茶屋は老朽化と耐震性不足の為2023年7月から閉鎖され、今年度は改修工事のための設計を行い、25年度に工事着工の予定。伊賀市の登録有形文化財は54件となった。
国指定史跡「鍵屋の辻」は備前藩士渡辺数馬が、弟を殺した仇敵の川合又五郎を荒木又右エ門の助太刀で打ち取った現場で、日本三大仇討の1つとして有名な「伊賀越えの仇討」の舞台となった所。ここにあった茶屋「かぎや」で待ち伏せしたところから「鍵屋の辻」と呼ばれるようになった。
市資料によると、数馬茶屋は「かぎや」の筋向いにあった茶店の跡に、伊賀越復讐遺跡保存会の発起で、当時上野町長であった田中善助や、俳聖殿の建築の棟梁を務めた森本源吉により昭和4年(1929)に完成。昭和36年(1961)に現在の史跡公園に移転修復され、市の観光施設として湯茶接待や土産物販売所として使用されてきた。
建物の面積は83平方㍍。入母屋造りで土間と、板間、床の間付きの和室の二部屋。茶室を思わせる数寄屋造りで、簀子天井、下地窓、無双窓などの意匠や自然木を使った床柱や梁が特徴。座敷中央の大黒柱は菊本直次郎(三井銀行頭取)の妻の実家(伊賀市西条)からもらい受けたものと言われている。
歴史的な出来事を今に伝え、親しまれてきた「数馬茶屋」は2025年の修復を待っている。なお、公園内にある「伊賀越資料館」も、2019年4月から休館となっている。(写真は伊賀市提供)

伊和新聞

伊和新聞一覧