映画「荒野に希望の灯をともす」上映
百の診療所より一本の用水路を
アフガニスタンで復興支援中の2019年、武装勢力の凶弾に倒れた医師の中村哲さん(当時73)のドキュメンタリー映画「荒野に希望の灯をともす」(監督・谷津賢二)が8月27日、名張市総合福祉センターふれあいホール(同市丸之内)で上映される。定員先着予約200人で入場料500円、高校生以下は無料。
中村医師は1946年福岡生まれ、1973年九州大学医学部卒業後国内病院勤務を経て、1984年日本キリスト教海外医療協力会から派遣され、パキスタンのペシャワールに赴任。20年以上に亘ってハンセン病を中心とする医療活動に従事。パキスタン政府の圧迫が強くなり、主な活動をアフガニスタンに移す。2000年アフガニスタンを大旱魃が襲い、農業は壊滅し、人々は飢えと渇きのなかで命を落とす中、医療活動の傍ら、大河クナールから水を引き、用水路を建設する事業に着手。「百の診療所より一本の用水路を」医師としても切実な思いで、同時多発テロ後の空襲や政変などの困難に直面しながら、現地の人々と延長25㌔の用水路を完成させた(2010年)。この工事では、九州筑後川の山田堰が大いに参考になったという。この用水路の周辺には65万人の難民が帰農し、定住するようになったと言われている。
実行委員会の福廣会長は1997年頃、京都の講演会で中村医師に会った時のことを「凄いことをした、堂々とした人だろうと思っていたが、思いがけなく小柄で、共通の知人の話をすると、もの静かに話しをする穏やかな人だった。水の安定、食料の安定供給等、口先だけで言う薄っぺらな平和でなく、本当の平和の仕組みはここにあると、現地で実感していたのではないか」と話し「川や水の豊かな平和な日本がここにある。この映画を見た若い人たちで、この後を継ぐスターが名張から生まれてくれたら」と希望を語った。事務局の、なばり母親実行委員会の内橋晃子さんも「この映画を見て本当に大切なことは何か、を感じてもらえたら」と話していた。
映画上映後には、ペシャワール会の現地ワーカーとして中村医師の活動に参加した、京都芸術大学教授で写真家の中山博喜さんの講演とフロアトークがある。当日の開場は午後1時。映画上映は午後1時40分~3時10分。講演とフロアトークは午後3時20分~4時30分の予定となっている。一般託児も受け付けており、予約は8月12日まで。
お問い合わせ、申し込み先は、なばり母親実行委員会事務局・内橋さんまで。または、案内チラシのQRコードから。