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青山町車庫で260人が訓練

近鉄大阪線列車衝突事故から50年
近鉄特急列車同士が総谷トンネル内で正面衝突した大事故から50年を迎えた25日、脱線事故を想定した訓練が近鉄青山町車庫(伊賀市阿保)で行われ、近鉄職員と伊賀・名張の各消防署、名張警察署から計260人が参加し、実際に事前に脱線させた列車から乗客を救助する訓練を行った。
まず冒頭で、事故を振り返り参加者一同で事故の犠牲者に黙とうをささげた。その後4両編成の急行列車の先頭車両が脱線したと想定。車掌が乗客の安否を確認し、4両目のドアから線路に降りるはしごを設置して軽症者を避難させた。重傷者は担架で移動させ、救急隊員がトリアージ(治療の優先順位の選択)をした。
近鉄大阪統括部の米野義浩運輸課長は「当社にとって総谷トンネルでの列車衝突事故は、絶対に風化させてはいけない、二度と起こしてはいけない事故。社員教育や設備投資をしっかりし、安全に運行できるよう全体で取り組んでいきたい」と話した。
事故は1971年10月25日、特急列車がトンネル内で正面衝突した大事故だった。上本町発名古屋行きの列車がATS(自動列車停止装置)の異常で下り勾配を暴走して脱線。対向の賢島発難波・京都行きの列車に正面衝突した。運転士らの乗務員3人を含む25人が死亡。288人が重軽傷を負った。
近鉄ではこの事故を踏まえて毎年1回、大阪と名古屋の沿線1カ所ずつを選び訓練を実施している。同社は列車事故から50年を迎えるのを前に、事故現場となった総谷トンネル内に事故の内容や今後への決意などを記したプレートを新たに設置。「教訓をいつまでも変わらず胸に刻みつけ、お客さまの尊い命やかけがえのない人生をお預かりしているという鉄道従業員の職責を自覚して職務に当たることを誓い、犠牲となられた御霊のご冥福をここに祈念する」と記しているという。

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