SDGsを学ぶ修学旅行
竹あかりを作って自然の中に
名張市の観光地を運営管理するNPO法人赤目四十八滝渓谷保勝会が中心となり、大手旅行会社JTBと受け入れを進めていた「SDGs教育旅行」が現実となり10月23日、かえつ有明高等学校(東京都江東区)2年生27人と教員2人が赤目四十八滝を訪れ、竹灯りを作った後、渓谷を散策した。
室生赤目青山国定公園指定50周年にあたる2020年、名張市は「なばり竹あかりSDGsプロジェクト」(以下「なばり竹あかり」と略す)を発足した。これは“竹”をテーマに「環境」「社会」「経済」の持続可能な循環を生みだしていこうとするもので、赤目滝をライトアップする「幽玄の竹あかり」が2020年10月から開催されたのもその取り組みの1つであり、現在3年目が開催されている。「なばり竹あかり」の目的は、▽環境保全のため放置竹林を整備して竹材を確保する▽地域振興のため、竹あかりづくり体験ワークショップを開催し環境学習にも寄与する▽“竹”をテーマにした地域振興のため、体験プログラムで観光誘致や都市部からの関係人口の拡大、世代間交代、コミュニティビジネスの創造などで、地域の活性化を図る等で、赤目渓谷をライトアップする「幽玄の竹あかり」は以上全ての目的に繋がるシンボル的なイベントである。
「なばり竹あかり」は、名張市商工会議所、赤目まちづくり委員会、赤目四十八滝渓谷保勝会、名張市その他関係諸機関で構成されている。2021年には、より地域に密着した「赤目竹あかりSDGsプロジェクト」が結成され、積極的な活動を行っている。
JTBは企業や学校に向けての研修旅行企画部門があり、「なばり竹あかり」のSDGsで地域の人々と交流の考えが合致し、今回の「SDGs教育旅行」かえつ有明高等学校修学旅行の受け入れに繋がった。10月23日午後、赤目渓谷入り口近くの赤目観光ハウスに到着した高校生たちは、名張市観光交流室の山下光彦室長のSDGsについての講義と映像を見た後、赤目四十八滝渓谷保勝会の増田茂樹ゼネラルマネージャーによる、名張における竹林の歴史や整備などの話を聞き、竹あかりつくりの解説を受け、ドリルを使っての作業に入った。赤目まちづくり委員会や赤目竹あかりSDGsプロジェクトの人々など13人が、熱心に高校生たちをサポートした。約2時間の作業で全員の作品が完成した。それぞれ自分の作品に照明を入れると出来上がりには大いに満足した様子であった。引率の小島玲奈先生は「応援して頂いた皆さんの一生懸命伝えようとする気持ちがすごく伝わってきました。それが嬉しくて素晴らしい思い出に繋がりました」と感激の様子。男子生徒の1人は「自分が作ったと思えないほど綺麗」と喜んでいた。
この後、みんなは自分の作った竹あかりを持って渓谷に入り、記念写真を撮った。作品は現在、赤目自然歴史博物館の入り口近くに「幽玄の竹あかり」に合わせて展示されている。この修学旅行は、JTB と協議しながら生徒が自主的にコースを決定した。翌日は志摩でシーカヤックにチャレンジし、シェルクラフトを体験したとのこと。