「令和の学校」ってどんな学校 No50 伊賀市立崇広中学校
伊賀上野城を背に、国道25号線(上野中央通り)沿いに上野西小学校、県立上野高等学校・旧史跡崇廣堂と並んだ西側に白い塀に囲まれた大きな校舎、伊賀市立崇広中学校だ。更に東に行けば、旧市役所や簡易裁判所、丸之内交番、郵便局、銀行と官庁や金融機関が立ち並び、伊賀市の行政・文化・経済の中心地である。
1947(昭和22)年上野市に開校した市立中学校3校を、翌1948年校区変更し上野市立西中学校と改称。同年、上野市立崇廣中学校と再度改称した。その後市町村合併に伴い、現在の伊賀市立崇広中学校となった。校名は、東隣に隣接する藤堂藩の藩校であった「崇廣堂」に因んで付けられたのであるが、崇広中では「長く久しく高い理想をもって、広く深く学業に努める」という意味を、毎年入学時に学校だよりで全校生に周知している。こうした歴史と伝統のある中学校に今年4月赴任した二井英夫(ふたいひでお)校長を訪ねた。
今年、4月に伊賀市教育委員会から着任されたが。
伊賀市教育委員会に6年間お世話になった。特に最後の2年間は学校教育課長としての勤務であったが、コロナ禍という今まで経験したことがない事態であり、また日々状況が変化していたので、何かと大変だった。しかし、学校現場ではもっと大変で校長先生をはじめ、先生方が児童生徒や保護者が感染した場合の対応等に苦慮されていた。市教委では、校長先生方からの報告を元にして対応を検討し、谷口教育長からの指示を出したが、連携を密にすることにより、大きな混乱もなく、各学校の教育が行えたと思う。休校や学級・学年閉鎖等の事態になっても、オンライン授業等を行い、子どもの学習が保障できたのは良かった。今こうして校長となって思うのは、子どものことを考え、市教委との連絡・連携の大切さ。そうした意味から、市教委での経験は自分自身にとっては大変有意義であった。その上で、生徒の声が聞こえるというのは、やはり嬉しいことである。まだ、4カ月余りであるが、書類とにらめっこすることが多かった市教委時代には感じられなかった、季節感が感じられる。もちろん、市教委の時は伊賀市全体の教育がよりよくなるようにと、精いっぱい職務に励んできたつもりであるが、校長として勤務する今は生徒と関った教員時代の喜びがよみがえってきて、大変なこともあるが楽しい日々を送っている。
教員歴は。
大学卒業後、伊賀町立霊峰中学校に10年、柘植中学校に8年と若かった時に2校勤務した。その後、成和中学校に4年勤務したが、5年目に丸山中学校と統合なった上野南中学校の勤務となり、4年間勤めて学校現場を離れた。伊賀市教育委員会は6年間学校教育課での勤務であった。本校は初めて勤務する学校である。
今年になってからもコロナ禍の影響はあるか。
4月以降、コロナの心配は常々しているが、年度当初は比較的感染者も少なかったので、修学旅行もほぼ計画通り実施できた。本校は、コロナ以前は東京方面に行っていた。しかし2年前のコロナ流行の時に、山梨県が感染者が少なかったので、時の校長先生が検討されて行先を「山梨方面」と決定。しかしその後、コロナ感染者の全国的な拡大に伴い、「三重県内」にと修学旅行先がなったので、「山梨方面」は実現しなかった。今年になって、県外OKとなり市内の他の中学校は岡山や兵庫、四国等、西方面に行かれるが、本校は計画していて実現できなかった「山梨方面」に行くことにした。6月7日から2泊3日で、「山梨県・長野県」を訪れた。梅雨時ではあったが、期間中雨に降られることなく、無事楽しく活動でき有意義で、心に残る修学旅行となった。市教委にいる時には、日程変更を何度もして苦労されている学校の事を思っていたが、今年の3年生は、小学校の卒業式ごろからコロナの影響で、色々と制限や変更の中での学校生活を送っている。何とか修学旅行は県外へ2泊3日で行かしてやりたいと願っていたが、無事実施できて良かったと思うし、ホッとしているのも正直な気持ちである。部活動もここ2年間色々と制限がされたりしたが、安全には十分留意をしながらも、できるだけのことはさせてやりたい。今年は市中体をはじめ日頃の練習の成果が発揮できる場が持てたのは良かった。卒業後、中学校生活を振り返った時、「何もできなかった」と思い出に残ることがないようなことにはしたくないと思った。2学期の行事については体育祭などは10月に予定通りに行いたいと考えている。ただ、夏休みに入ってから、コロナ感染者が急拡大しているので、心配はしているが、市教委とも相談しながらやっていきたい。
やまなみ学習会って?
本校では、人権学習を「やまなみ学習」と名付け、1年生では「性の多様性」、2年生は「多文化共生」、3年生は「マジョリティ―特権」等について、講師を招いて講演会を開催したり、話し合いを行ったり、学習を進めている。6月2日、1年生の「やまなみ学習講演会」に講師として来ていただいた加納克典さんと嶋田全宏さんのお二人は、同性カップルを公的に認めている伊賀市の「パートナーシップ制度」を利用して伊賀市に移住されたカップルで、自身の事を中心に多様な性の在り方に関わる課題や経験について、また伊賀市に移住した今の生活について話をしていただいた。このように、本校では各学年でテーマを決め人権学習を行い、自尊感情を高める事やいじめをゆるさない学級学校づくりを進めている……
続きは令和4年8月20日号の伊和新聞に掲載しています。
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